相続時精算課税制度と事業承継税制の併用 第177回 

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元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

事業承継税制の「特例」が平成30年度税制改正により、平成30年1月1日から適用されています。

昨年の平成29年度税制改正では、少しでも事業承継税制を使いやすいようにとの趣旨で、相続時精算課税制度との併用が認められています。

これは贈与税の納税猶予の適用を受けても、認定が取り消された場合に高額の贈与税負担が発生するリスクが存在するため、相続時精算課税制度との併用を認めたものです。

中小企業庁の資料では、株価総額3億円の会社の3分の2(2億円)を贈与した場合の例を挙げています。通常の相続で自社株を取得した場合、4,860万円の納税になります。これを事業承継税制を利用し、3分の2を贈与し、贈与税の納税が猶予猶予されます。

ただし、事業承継税制「特例」の認定が取り消された場合、贈与税が課税されます。これが約1億300万円となります。既に贈与されているので、相続税はゼロとなります。

1億300万円-4,860万円=5,440万円多く納税することになるリスクを避けるために、相続時精算課税制度を併用します。その場合、一旦は、贈与税を納税しますが、この場合でも、2,500万円が特別控除され、贈与税率は20%で計算するため、贈与税額は3,500万円となります。相続時に精算しますので、残りの1,360万円を相続税として納税します。

このような差異が生じるのは、贈与税は基礎控除額を加味すると、5,140万円超で最高税率55%が適用されるためです。また、相続税の場合は、基礎控除額が3,000万円あり、法定相続人一人当たり600万円の控除があります。

ただし、相続時精算課税制度は、贈与者は60才以上、受贈者は20才以上が適用対象者とされています。

※投稿時の法制度を基に記載しております。詳しい内容については当方にご相談ください。

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