個人と法人間の低額譲渡 第184回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

低額譲渡とは、時価よりも低い価額で売買することです。今回は個人間、法人間ではなく、個人対法人の場合の税務関係を整理してみます。

まず、個人から法人に低額譲渡した場合です。譲り受けた法人は時価で資産を計上するため、受贈益が計上されます。この受贈益に対して法人税が課税されることになります。

例えば、時価9千万円の土地を4千万円で買い取った場合、会計上の仕訳は次のようになります。

土地 9千万円 /現預金 4千万円

/受贈益 5千万円

低額で譲り渡した個人の方は、時価の2分の1以上での譲渡であれば所得税は課税されませんが、時価の2分の1に満たない金額(この例では4千5百万円)で譲渡すると時価9千万円で譲渡したとみなされ、譲渡所得税が課税されます(みなし譲渡所得税)。

所得税法第59条には「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)」での取引は時価で資産の譲渡があったものとみなされます。著しい価額とは「資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額とする」(所得税施行令第169条)とされています。

次に、法人から個人へ低額譲渡した場合です。譲渡した側の法人は、時価で取引をしたとみなされ、売却益に法人税が課税されます。

例えば、簿価3千万円の土地(時価9千万円)を4千万円で売却した場合、次のような仕訳になります。

現預金 4千万円 /土地  3千万円

寄附金 5千万円 /売却益 6千万円

ただし、利害関係が全くない第三者との取引であれば、土地の固定資産税評価額がいくら高くてもその価格で売却出来ない場合、合意した金額が時価ということになります。であれば、売却益は1千万円となります。

低額譲渡された個人の側では、時価との差額、ここでは時価9千万円と譲渡価額4千万円の差異について、従業員、役員であれば給与所得に、従業員でも役員でもなければ一時所得となり、所得税が課税されまることになります。

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