使途秘匿金と使途不明金 第188回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

使途秘匿金とは、租税特別措置法第62条第1項に「法人がした金銭の支出のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由を当該法人の帳簿書類に記載していないものをいう」とされています。

金銭の支出には、贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含みます。貸付金、仮払金であっても、名義人を通じて記載された以外の者に支出されている場合は、相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないとみなされ、使途秘匿金となる場合があります。

ただし、資産の譲受けその他の取引の対価の支払としてされたものであることが明らかなもの、すなわち取引の対価として相当であると認められるものについては使途秘匿金から除かれます。

同第3項には「税務署長は、法人がした金銭の支出のうちにその相手方の氏名等を当該法人の帳簿書類に記載していないものがある場合においても、その記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その金銭の支出を第1項に規定する使途秘匿金の支出に含めないことができる」と、税務署長の認定があれば使途秘匿金に該当しないとしています。

税務上、まず使途秘匿金は経費に認められず、加算・社外流出となり、通常の法人税等の計算に含められます。

更に、特別税額が設けられており、同第一項には「当該使途秘匿金の支出の額に100分の40の割合を乗じて計算した金額」が加算されます。地方税では7%加算されます。この特別税額は別枠で追加課税されるため、赤字法人で課税され、支払わなければなりません。

例えば、100万円の使途秘匿金があった場合、損金として認められないため、地方税も含めた実効税率34%の34万円と、40%の特別税額40万円、約7%の地方税7万円で、計81万円の税金となります。使途秘匿金の約8割近い税金を支払うことになります。

一方、使途不明金は、支出先と支出額は明らかでも、使い道がわからないものです。使途秘匿金は使った先も使い道もわかりません。使途不明金も同様に損金には認められませんが、40%の特別税額、約7%の地方税は課税されません。

 

 

 

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