税制改正

新型コロナに伴う税金の特例 第231回 

志村けんさんがお亡くなりなったのは、衝撃的でした。山田洋次監督の新作に主演するところでした。とても残念です。世界各国が導入しつつある富山化学開発のアビガンは、処方されたのでしょうか? 政府は今からアビガンを治験するとノンビリしたことを言っています。

3月28日の日経新聞には「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府・与党は収入が急減した企業などの税金と社会保険料の支払いを1年間猶予する特例制度を創設する」と報道されています。

新規に特例法をつくり、2020年2月以降に収入が大幅に減少した企業や個人事業主などに納税等の猶予を認め、新型コロナとの因果関係の証明など細かい手続きは求めないとしています。リーマン・ショックや東日本大震災の後にも税金の支払いを先に延ばしましたが、全国一律で「収入の大幅減」のみを条件にして、延滞税も免除されるのは初めてです。

対象となる税金は、消費税、法人税、所得税などです。会社が負担する年金、健康保険などの社会保険料も猶予されます。期間は原則1年となるようです。政府は地方税についても猶予や負担の軽減策を検討するとしています。

また更に、中小企業が赤字になった場合、前年度までに納めた法人税の還付を受けられる制度の適用対象を拡大するとしています。現行は資本金1億円以下の中小企業が対象ですが、資本金10億円以下に広げられる予定です。新型コロナウイルスの感染拡大で赤字を出した企業の資金繰りや雇用維持を支援します。

中国では、アビガン治験して新型コロナの治療薬として認証し、正式に採用し既に臨床現場に投入しており、治まりつつあります。ロシアは4月からアビガン同等品の生産を開始します。イランは日本政府からアビガンの無償提供を受けることになっていますが、肝心の日本では正式に投入されていません。タイミングが遅ければ大変なことになりかねません。

令和2年度税制改正大綱 第224回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

令和元年12月12日、自民党・公明党は来年度の税制改正の大綱を決めました。「税制改正大綱」(以下「大綱」)とは、翌年度以降に実施する増税や減税、新税の導入内容などをまとめた文書で、自民、公明両党の税制調査会が各府省庁等の要望を踏まえ議論し、12月に決定します。政府はこの大綱をもとに税制改正法案をつくり、翌年1月召集の通常国会に提出し、例年3月末あたりに国会を通過することとなります。

令和2年度の税制改正のテーマは、ベンチャーや5Gなどデジタル分野への投資を促す法人減税となっています。「大綱」では「5GはSociety5.0の実現に不可欠な社会基盤であり、安全・信頼性、供給安定性、オープン性が補償された5Gシステムを構築する必要がある」としています。

ただ、5Gは人体に与える影響が半端ないとも聞いたことがあります。「大綱」では5G網の整備を支援するため、投資額の15%が税額控除されます。令和2年度から2年間のみの時限措置です。

ほかに連結納税制度の見直しがあります。平成14年度に導入されてから18年が経過しています。うちの事務所では導入当初から連結納税制度に対応してきました。うちに限っていえば、連結納税制度を採用した会社には、未だ税務調査が入ったことがありません。

その要因として、連結申告書の複雑さがあると思います。当初はエクセルシートで作成していましたが、毎年、100枚もの申告用紙が変更となるため、現在は連結申告のソフトで処理しています。一つの会社を修正すると、全ての会社に影響があり、手作業では限界があります。

「大綱」では、グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に変えて、各法人が個別に税額計算できる制度に変更するとしています。ということは、連結納税を採用している会社にも、改正後は税務調査が入りやすくなるということになります。

令和元年度 税制改正④その他 第210回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

税制改正4回目は個人課税、資産課税、法人課税以外で目についた改正事項です。令和元年10月からの消費税増税については、改めて特集の予定です。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、2年延長され令和3年3月31日までとなりました。改正前では30歳到達時に、その時点の残高に対して贈与税が課税されていました。

改正後は、 30歳到達時において、現に学校等に在学している場合には、その時点で残高があっても、贈与税を課税しないこととなりました。学校在籍しなくなった時の残高に対して贈与税が課税されます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、贈与者は金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出し、この資金について、子・孫ごとに1,000万円を非課税とされる制度です。これも2年延長となり令和3年3月31日までとなりました。

改正後は、贈与があった年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用できないこととなっています。

個人的に興味があったのは、金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除の見直しです。改正前では、金地金等の課税仕入については、密輸品であったとしても、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿を保存することにより、 仕入税額控除が可能となっていました。

改正後は、密輸品と知りながら行った課税仕入について、仕入税額控除を認めないこととなりました。これは平成31年4月1日からの適用です。令和元年10月1日からは、金地金等に係る仕入税額控除について、帳簿の保存に加え、「本人確認書類の写し」の保存が要件として追加されることになります。

令和元年度 税制改正③法人課税 第209回

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税制改正3回目は法人課税です。あまり大きな改正はありません。1つ目は、イノベーション促進のための研究開発税制の見直しです。これは中小企業にとってはあまり関係のないところです。

そこで2つ目は、中堅・中小・小規模事業者の支援です。中小企業者等の法人税の軽減税率15%の特例の適用期限を2年延長し、令和2年度末までとなります。本則では19%ですが、平成24年から15%と下がったままです。

課税所得が800万円以下の場合はこの15%を使用しますので、住民税・事業税を含めた実行税率は、23.5%となります。800万円を超えた部分に対しては法人税率は23.2%で実効税率は34.0%です。法人税は随分と軽減されてきました。

中小企業経営強化税制は適用期限を2年延長されます。生産性向上設備(生産性が年1%改善する設備)、収益力強化設備(投資収益率が5%以上の設備)で中小企業等経営強化法の認定計画に基づくものであれば、即時償却または7%の税額控除(資本金30百万円以下であれば10%)が適用されます。

この場合、即時償却はとても良さそうに見えます。しかし、償却期間を通してみれば税額は変わりません。それよりも税額控除の方を選択すべきと思います。

中小企業投資促進税制も2年延長となっており、特別償却30%または税額控除7%の選択です。

また、中小企業における災害に対する事前対策のため、防災・減災設備への投資について、特別償却20%ができる措置を講じています。主務大臣の定める中小企業者の事業継続力強化に関する基本方針に照らし適切なものとの条件が入っています。

令和元年度 税制改正 ➁資産課税 第208回

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第2回目は資産課税です。個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度が創設されています。いわゆる個人の事業承継税制です。

2024年3月31日までに「承継計画」の提出が要件です。提出していれば、2019年1月1日から2028年12月31日までの相続または贈与について適用されます。

「承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された特定事業用資産の承継前後の経営見通し等が記載された計画となります。認定経営革新等支援機関とは      専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関とされており、具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等になります。

事業承継税制の内容は、事業用の宅地、建物、その他一定の減価償却資産について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額が納税猶予となります。事業用宅地の面積上限は400㎡、事業用建物の床面積上限は800㎡となっているので、不動産をそれ以上所有していれば、当然100%の納税猶予とはなりません。

法人の事業承継税制と同様に、担保を税務署に提供しなければならず、要件を満たさず猶予取り消しとなると、猶予税額及び猶予期間の利子税を一括納付しなければなりません。ですから、取り消しのリスクがあります。

それは事業等の継続要件です。相続税の申告期限後、終身、事業・資産保有を継続しなければなりません。個人事業において、終身継続するというのはかなり厳しい要件ではないかと思います。死亡、一定の重度障害、一定の災害の場合は猶予税額を免除するとはあります。

そうでなければ、一生、働き続けなければならないということでしょうか。

令和元年度 税制改正 ①所得税 第207回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

令和元年度税制改正の第1回として、今回は所得税です。税制大綱には「消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から、住宅に対する税制上の支援策を講ずる」と記載されています。

消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を10年間から13年間に3年延長されます。ただし、11年目以降の3年間については消費税率2%引き上げ分の負担に着目した控除額となります。

一般の住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅以外の住宅)の場合 次に掲げる金額のいずれか少ない金額になります。

①住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)の1%

②建物購入価格(税抜)(4,000万円を限度)2/3%

3年間で消費税増税分にあたる建物購入価格の2%の範囲内で減税を行い、住宅ローン残高が少ない場合は、従来通り年末残高に応じて減税されます。

入居1~10年目は改正前と同様の税額控除となります。ローン残高の1%控除され、各年、最大で40万円の控除です。認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合は、建物購入価格、住宅ローン年末残高の控除対象限度額は5,000万円になります。

平成31年4月1日以後に提出する給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の「特別控除申告書については、①住宅の取得等をした年月日、②居住の用に供した年月日、③住宅の取得等の対価の額、④住宅の取得等をした家屋の床面積の記載を要しなくなります。

替わって、これらは住宅ローンを有する場合の所得税額の「特別控除証明書」の記載事項となります。

いずれにしても、あまり大きな改正ではありません。

所得拡大促進税制の改正 第200回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(または所得税)から税額控除できる制度です。

平成30年4月1日以降に開始される事業年度(個人事業主については平成31年分)から は制度が大きく変更されます。今のところ、2021年3月31日までに開始される事業年度が対象となります。「通常」と「上乗せ」の2段階になっています。

「通常」の場合は、適用の要件を満たす場合、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額(給与の増加)の15%を税額控除します。ただし、調整前法人税額の20%が上限となります。

適用の要件は、継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額(前年度継続雇用者給与金額)と比べて1.5%以上増加していることです。継続雇用者とは、前事業年度の期首から適用年度の期末までの期間の全ての月分の給与 等の支給を受けており、一般被保険者であった者が継続雇用者となります。

従来の所得拡大促進税制との違いは、基準年度(H24年度)の給与総額と比べて、適用年度において一定割合増加していることが廃止されました。また、平均給与等支給額が前年度以上であった要件が「継続雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加」に変更されています。

「上乗せ」は、前年度継続雇用者給与よりも2.5%増加している場合、税額控除が25%となります。「通常」と同様に、調整前法人税額の20%が上限となります。

ただし、「上乗せ」には次の二つの要件が加わります。

  • 適用年度における教育訓練費の額が前事業年度における教育訓練費の額と比 べて10%以上増加していること
  • 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けていること。

この要件はちょっと厳しいですね。

 

 

「平成31年度税制改正大綱」 第196回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成30年12月21日に「平成31年度税制改正大綱」が閣議決定されました。今回は目玉になるような大きな改正はないようです。ただ平成31年10月から消費税率が10%引き上げられることに伴い車と住宅の減税措置を施しています。

日本銀行の試算では、消費税率引き上げにより家計の負担額は5.6兆円増加するそうです。軽減税率で1兆円、教育無償化で1.4兆円の減少などを見込み、純額では負担は2.2兆円としています。ただし、教育無償化は「大胆な前提をもとに試算した」とありますので、鵜呑みにはできません。

今回の税制改正大綱では、消費税引き上げの反動を重視して、次のような減税措置を施しています。

①自動車に係る措置

平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用乗用車について、小型自動車を中心に全ての区分において、自動車税の税率が引き下げられます。

また、自動車の取得時の負担感を緩和するため、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に自家用乗用車を取得した場合、環境性能割の税率が1%分軽減されます。

②住宅に係る措置

平成32年末までの間、消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長し13年間となります。

10年目までは年末の借入残高(上限4千万円)の1%を所得税などから控除する今の仕組みのままで、11年目以降は戸建て住宅やマンションの建物価格の2%分を3年かけて控除することになります。

消費税増税後の単年度ベースで車と住宅あわせて1,670億円の減税となるとしていますが、負担額2.2兆円にはまだまだ及びません。消費税増税が経済全体に与える影響が心配です。

 

法人の実効税率 第172回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

法人税の税率は3月決算の場合、平成30年3月期は23.4%ですが、平成31年3月期から23.2%と0.2%低くなります。法人住民税(都道府県税、市町村民税)、法人事業税を含めた実効税率は、中小企業では通常、平成30年3月期が33.7%、平成31年3月期からは33.5%となります。

昭和の時代には法人税だけで43.3%もありました。平成2年からは37.5%となり、平成11年から30%となって、ここ数年段階的に下がってきています。年配の社長さんとお話しすると、儲かった分の半分は税金という感覚です。地方税も入れるとほぼそれに近いところでした。

ところが平成30年3月期では地方税を含めた実効税率でも33.7%、来年は更に0.2%減ります。

これに対して、所得税は平成27年度からは最高税率が45%となり(ただし控除額は4,796千円)、地方税10%を加えると55%が税金ということになります。課税所得が4,000万円超の場合に45%となり、対象者はそうそう多くないと思いますが、

その下の40%の税率は1,800万円超の場合です。こちらは対象者がグンと増えそうです。所得税率40%の人は、地方税を加えて50%となり、まさに半分は税金です。

所得税の場合は、さまざまな控除があり、所得に応じた控除額もありますので、単純に半分とはいえませんが、税率50%は、法人実効税率33.7%と比較すると、重税感があります。

法人優遇で、個人にきつい税制となっています。中小企業の場合、社長の個人口座よりも、会社に残す方が税金を考慮すれば、お金を残しやすくなっています。貯まった法人の預金から個人に移転するには、最後は退職金ということになりますが、こちらは控除額は年数に応じて増え、さらに所得を半分にしますので低い税率になります。

個人・法人の税率を考慮し、お金を残していきましょう。

 

平成30年度税制改正③ 第170回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

国際会計基準審議会は、平成26年5月に「顧客との契約から生じる収益」(IFRS15)を公表し、IFRS15は平成30年1月1日以後開始年度から、適用されることになっています。

日本では、平成30年3月30日に、「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」を公表しています。

平成30年度税制改正では、この収益認識会計基準の創設を踏まえ、法人税法の所得計算を規定する第22条第4項の「別段の定め」として,第22条の2が創設されています。

「収益の計上額」について、会計基準では、値引き、割戻し、返品、回収不能等、取引の対価に変動性のある金額が含まれる場合、その金額を見積って収益を認識します。

一方、法人税法では、返品と回収不能については、その可能性がある場合でも「収益の計上額」に織り込めないとしています。それに伴い返品調整引当金は廃止されています。

国際会計基準(IFAS)が適用されない中小企業については、今回の改正では、長期割賦販売等の延払基準と返品調整引当金が廃止されたこと以外は影響は生じません。

返品調整引当金制度は、平成33年3月31日までに開始する各事業年度については現行どおりの損金算入限度額による引当を認め、平成33年4月1日以後の10年間で、従来の損金算入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した額の引当てを認める等の経過措置を講じています。

長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額 及び費用の額を計算する選択制度は廃止されます。平成35年3月31日以前に開始する事業年度においては、引き続き従前の「延払基準」を適用できる経過措置が講じられています。