源泉所得税

年末調整の大きな変更 第245回

税務署から年末調整の申告書等が送られてきています。今回から所得税の基礎控除、給与所得控除が改正され、所得金額調整控除が新設されています。他に扶養親族等の合計所得金額要件等が改正になっており、それに伴って、「給与所得者の基礎控除申告書」等の様式が大きく変わっているので注意しましょう。

給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。例えば、給与の収入金額が1,625千円以下の場合は改正前で65万円控除でしたが、改正後は55万円の控除となります。給与所得控除の上限額は220万円から195万円と下がり、適用される給与収入額は1,000万円から850万円と引き下げられます。

一方、所得税の基礎控除は10万円引き上げられ、改正前の一律38万円から48万円となります。ただし、2,400万円超の所得金額からは32万円と下がり、2,500万円超からは基礎控除はゼロとなります。高額所得者の方は所得税率も高いので、税収的には大きいのではと思います。

最も低い給与所得控除は55万円となり、その場合の基礎控除は48万円ですから、所得税が課税されないギリギリの所得は103万円となります。改正前の65+38=103万円と、改正前とは金額的には変わりはありません。しかし、基礎控除が所得に応じて変わるので、従来、勤務先に提出していた「配偶者控除等申告書」に「給与所得者の基礎控除申告書」の様式が加えられています。

更に、給与の収入金額が850万円を超える所得者のうち、特別障害者の人、23才未満の扶養親族がいる人等は、収入金額から850万円を控除した金額の10%を給与所得控除できるようになっています。そのため、新たに「所得金額調整控除申告書」の欄が設けられています。この「申告書」に記入していなければ所得金額調整控除を受けれませんので、慎重に記入しましょう。

また、扶養親族の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられています。配偶者の場合、改正前では38万円以下でしたが、改正後では48万円以下で扶養控除を受けれるようになります。これにより「配偶者控除等申告書」の様式が変更になっています。

実際に記入してみないとなかなか判り難いものです。給与所得者の方は皆さん記入しなければなりません。

表彰等の源泉所得税 第221回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

近年、税務調査の件数が増えているような実感があります。先週も今週も、税務調査の立会でした。調査官の人に伺うと、税務署の人事異動があった6月末から、税務調査の連絡をするようになったとのことです。以前は8月くらいからの連絡だったのものが、明らかにスタートが早くなっています。

最近は、税務署に入りたての20代の調査官が増えてきました。署内で研修するよりも、実地の税務調査の件数を増やしていく方針だそうです。若い人が一人で調査に見えられることが多くなっています。

調査の際に必ず問題になるのが源泉所得税です。通常の給料・賞与に対しての源泉所得税は、「源泉徴収税額表」に添って源泉していきます。弥生給与等のソフトで計算すれば自動計算で源泉所得税を差し引くので、ほぼ間違いはありません。

俎上になるのは、永年勤続や営業成績などでの表彰される際に受け取る現金、商品券等です。商品券やクオカードは換金性が高いので給与として取り扱われます。なので、所得税の対象となり源泉所得税を差し引かなければなりません。

社長としては金一封として現金を手渡したいところです。ただ実際に源泉所得税を計算すると、数万円に対する源泉所得税は少額になるので、逆に細かいことはキッチリ計算しておくと安心です。

旅行券は、実際に1年以内に旅行したという実績があれば、給与としてはみなされないとのことです。その際には、1年以内に消化したという管理が必要です。

調査でそのような源泉所得税を指摘された場合、会社は源泉税を税務署に支払いますが、さすがに社員に後から請求するのは憚られます。損金にもなりません。

今回、グロスアップ計算というものを知りました。源泉後の金額を社員に支払ったとして、源泉徴収票から年間の所得税を計算し直します。その金額を納税すれば給与として損金に認められるというものです。納付した年度に給与として損金に認められることになります。

平成30年度からの配偶者控除、配偶者特別控除 第154回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年度税制改正により、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分以後の所得税から適用されます。

平成29年分の年末調整手続には、この影響はありませんが、早速、平成30年1月の源泉徴収事務から関係してきます。

まず、平成30年の最初の給料の支払いをする前に、「平成30年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から提出してもらわなければなりません。

この書類の中で「源泉控除対象配偶者」とは、合計所得金額の見積額が900万円(給与所得だけの場合の給与等の収入金額が1,120万円)以下の給与所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額の見積額が85万円(給与所得だけの場合の給与等の収入金額が150万円)以下の人をいいます。

配偶者に該当する人がいる場合であっても、その配偶者が源泉控除対象配偶者に該当しない場合には、「源泉控除対象配偶者」欄への記載は不要になります。

平成30年分以後の配偶者控除を整理すると、合計所得金額が900万円以下の場合は、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば38万円の配偶者控除、900万円超950万円以下であれば、26万円の配偶者控除、950万円超1,000万円以下であれば、13万円の配偶者控除となります。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額38万円超から123万円以下の間で、所得が高くなるほど逓減していきます。

源泉徴収事務では、合計所得金額900万円以下の場合で、配偶者の合計所得金額が85万円以下(給与収入150万円以下)であれば、扶養親族1名とカウントします。それ以外は源泉徴収事務では扶養親族ゼロとなります。

年の中途で給与所得者または配偶者の合計所得金額の見積額に変動があった場合は、次の給与支払いから源泉徴収額を変更します。遡っての修正はできず、年末調整により精算することになります。

 

 

配偶者控除、扶養控除について 第153回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

年明けから、事務所ではお客様の年末調整の計算に追われています。

従業員の方の年末調整をする場合に、配偶者の所得に注意しなければなりません。配偶者控除については、平成30年から改正になりますが、現在、年末調整中の平成29年分については従来のままです。

配偶者控除は、その年の12月31日で、次の四つの要件を満たす場合に適用できます。

  1. 民法の規定による配偶者(内縁関係は該当せず)
  2. 納税者と生計が一
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の専従者給与の支払を受けていない

ただし、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

平成29年までは、一般の配偶者控除は38万円となり、配偶者が70才以上の場合は48万円控除となります。

また、年間の合計所得金額が38万円超76万円未満である場合、配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が増えるに従って逓減していきます。納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できません。

配偶者特別控除については、平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。

マイナンバーが導入されてから、配偶者の所得が高いために配偶者控除ができないという、税務署からの通知が多くなったようです。お子様の扶養控除においても、遠隔地でも103万円以上の所得があれば、税務署から連絡があります。これもマイナンバーによる照合によるものでしょう。

年末調整にあたり、配偶者、扶養者の所得の確認する必要があります。

 

 

第47回「源泉所得税をキッチリと計算しましょう」

Calculator元気ですか! 福岡の公認会計士、税理士の山崎隆弘です。

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。

そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。


個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。

(1) 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人

(2) 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人

 

給与の支給人員が常時9人以下の場合、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる納期の特例があります。

この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。

毎月納付する場合、納期の特例の場合にも、気をつけないといけないのは、給与所得の源泉徴収税額表の月額表、日額表にそって、円単位までキッチリ預かって納付することです。

年末調整で計算するから、だいたいでいいだろうとしておくと、税務調査の際に源泉していないと見なされます。

逆に細かいことはキッチリやっておきましょう。

給与所得の源泉徴収税額表は国税庁のHPにエクセルデータでアップされていますので、
パソコンにいれておけば、いつでも簡単にみれるようになっています。

第34回「源泉徴収はいつから始まったのか?」

元気ですか! 福岡の公認会計士、税理士の山崎隆弘です。

納期の特例の期限である、1月から6月までの所得税等の7月10日が近づいてきました。

原則は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、
給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納付します。

しかし、給与の支給人員が常時9人以下の源泉徴収義務者は、
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができ、これを納期の特例といいます。

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