原価計算(管理会計)

管理会計の重要性がわかる『会計の世界史』 第195回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

公認会計士の田中靖浩さんが書かれた『会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ500年の物語』(日本経済新聞出版社)を読んでみました。

田中会計士はほぼ私と同世代ですが、監査法人での勤務はないようです。「笑いが起こる会計講座」の講師として活躍中とプロフィールにあります。著者自身によると、講義で歴史を用いると、好奇心をもって会計を理解する経験ができるそうです。

第1部では簿記の発祥から会社組織ができるまでを、イタリアとオランダを舞台にレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』と簿記をからめて、レンブラントの『夜警』と会社をからめて説明しています。『夜警』は昨年、ア ムステルダム国立美術館で観ました。大きな絵です。

第2部では財務会計について、、イギリスとアメリカを舞台に蒸気機関車、蒸気船、自動車の発明をからめて説明します。設備投資が大きくなることによって、利益を把握するために「減価償却」が登場します。これは会計の歴史にとって画期的な出来事です。絵画界における写真の登場くらいインパクトがあったそうです。

第3部は管理会計について、ジャズ(ルイ・アームストロング)、プレスリー、ビートルズをからめて説明していきます。

財務会計は過去の数字を扱った「守りの会計」とすると、管理会計は未来の予測を含んだ「攻めの会計」とします。外部報告用の財務会計とはちがって、管理会計は「内部利用目的」の会計のため、どのようにセグメント(区分)するか、共通費をどのようない配賦計算するか、自由度が高くなります。

マッキンゼー教授がシカゴ大学で「管理会計」を開講した1919年が管理会計の発祥とすると、来年は管理会計100年を迎えることになります。また、セグメントも連結も鉄道会社から出てきたことを始めて知りました。確かに「連結」はいかにも鉄道用語です。

会計は管理会計を経て、現在は企業価値の計算するものとなってきています。大変、興味深く読むことができました。

 

喫煙と効率化 第161回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

タバコを吸うことは、仕事の効率上、望ましいものではありません。

高級ホテル・旅館を展開する星野リゾートの採用メッセージをみると「あなたはたばこを吸いますか?」という問いかけがあります。

それに対して、星野リゾートでは「大変申し訳ございませんが、星野リゾートグループでは喫煙者は採用しておりません。それが企業競争力に直結すると考えているからです」とのメッセージを発信しています。

星野リゾートでは、次の3つの要素について競争力を高めることになるとしています。

① 作業効率

喫煙者は、ニコチン含有量の減少により集中力を維持できない。

② 施設効率

採算性から作業用のバックスペースを節約している時に、社員の喫煙場所に投資するのは利益を圧迫することになる。

③ 職場環境

全員が喫煙習慣のある社員で構成する会社が競争すると、最初から不利な環境におかれる。また、喫煙習慣のない社員から見ると不公平に感じる。

喫煙しない者から見ると、よくノンビリと吸っているヒマがあるな~と思います。残業時に吸っているのも見かけることがありますが、早く帰ればいいのにと思います。

私の知り合いの女性会計士は、ご本人は全く喫煙せずに、周りの男性職員がほぼ吸うため、煙モウモウの中で仕事をしていて、ご本人だけ肺がんに罹ってしまいました。

人に迷惑をかけるという点でも、いい習慣とはいえません。酒を飲んで酔っ払って周りに迷惑をかける場合がありますが、身体的には、自分の身体を痛めているだけですので、自業自得です。

最近は若い女性の喫煙者をよくみかけます。これから赤ちゃんを産まなければならないのにと、気の毒になります。

効率化に直結する問題ですので、会社全体での取り組みが必要でしょう。

 

原価管理について 第155回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

先日、ある会社で工事原価管理についての研修をさせて頂きました。ヒト、モノ、カネを投入して生産活動をします。その資源を投入して利用する過程において、原価を認識し測定します。

大事なことは費用対効果の観点から、投入すべきものか否か、受注を受けるべきか否かを意思決定しなければなりません。 前半、後半と講義形式でご説明し、それを受けてグループワークをして頂きました。具体的に自社でどのような原価管理をすべきかを話し会ってもらいました。

講義の中で、意外と反応があったのが、労務費管理のところで、手待時間、休憩時間も原価がカウントされているということでした。特に、タバコを吸うだけでロスとなります。禁煙するだけで生産性が上がります。 うちの事務所が入っているビルでは、1階の駐車場のところが喫煙所となっています。ほぼ同じ顔ぶれの人達がタバコを吸っていますが、ご本人は休憩のつもりでしょうけれど、端から見ればサボリですね。

ディスカッションでは、在庫管理、クレーム、仕損じについての発表が多くありました。在庫管理では、日常生活で使えるようなもの、高価なものは気をつけなければなりません。棚卸減耗損も原価です。

経験不足または教育不足のよる仕損じは、極力減らしたいところです。これもそのまま原価に反映してきます。

受講会社の中で、通常は全社ベースで行う損益分岐点の計算を、各現場ごとにしている会社がありました。受注段階から見積原価を計算し、それと比較検討しながら、管理しています。 現場ごとに損益分岐点管理すれば、相当の利益 改善になるのではと思われます。その管理を始めて半年とのことですので、結果が楽しみです。

第140回 損益分岐点グラフ

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

損益分岐点については、第88回「損益分岐点で必要な売上高を逆算しよう」で、固定費を限界利益率で割って、損益分岐点売上を算出しました。

お客様から、いろいろとシミュレーションして、グラフで見たいというご要望がありました。会計ソフトとの弥生会計では損益分岐点グラフは付いていますが、そのためだけに弥生会計を購入する必要はありません。

ネット上には、いろいろな損益分岐点ソフトがフリーで出ています。Kindle版で「30秒で損益分岐点グラフを作る」(寺田裕司著)が電子出版されており、テンプレートをダウンロードして使ってみました。Kindle価格で260円ですが、Kindle unlimitedでは0円です。

この損益分岐点グラフでは、変動費率、固定費、売上高を入力すると、損益分岐点を計算し、グラフが更新されます。それが右の図です。

グラフでは、売上高98,000に対して、損益分岐点が66,538となっています。売上高が損益分岐点に到達するまでは、固定費と変動費の総費用が売上高を上回っていますので損失です。

損益分岐点66,538を超えると総費用を上回るので、利益に転じます。必要利益を入力すると、必要売上高が表示される設定になっています。必要利益は、銀行返済額、目標利益などになります。

また、このグラフでは、二つのデータを同時に表示できるようになっています。その場合、予算と実績を対比することもできますし、前期と当期を対比することもできます。いろいろと利用できそうです。