キャッシュを残す経営

『生命保険はヒドい。騙しだ』 第206回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

10年前に、事務所講演会で講演をして頂いた副島隆彦先生の著書です。副島先生は博多出身です。にもかかわらず講演会の初っ端に「君たちは田舎者だ!」と罵倒していました。次の瞬間、「いかんいかん、お客様の悪口を言っては」と言われたのには笑いました。2回目の講演会では、本田健さんとのジョイントの講演会で盛り上げてもらいました。

その副島先生の衝撃的なタイトルの本です。先生自身の体験をもって書かれた本です。毎月56千円の保険料を25年間払って1,400万円支払っているのに、何も戻ってこないことに驚いています。

保険の内容が、終身保険険100万円、定期保険4,900万円でした。定期保険は満期になると1円も返ってきません。副島先生の場合、80才の定期保険で、ご自身は80才を超えて生きるつもりなので、掛け捨てだったことに怒っています。

自分は政治・経済の最高の知識人であると自認していたのに、そんなことも知らず奥さんに任せきりにしていた。終身部分をもっと増やすべきだったことに後悔しています。

そこからの行動がスゴイです。東京駅前の日本生命丸の内ビルに2018年7月と8月に乗り込んでいます。これからも納得いくまで話し合うそうです。

今、問題にしているのは、保険の見直しについてです。65才の副島先生はもうすぐ掛金が16万円の3倍に跳ね上がるそうです。保険の更新、見直し、切り替えにカラクリがあるとして、裁判まで持って行く勢いです。

かつて私の友人の会計士が保険会社のデューデリジェンス(純資産調査)をしたときに、しみじみと「山崎さん、実態を知れば知るほど、バカらしくなりますよ」と言っていたことが思い出されます。

 

「その節税が会社を殺す」 第175回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

新刊の「その節税が会社を殺す お金に強い社長がコッソリやってる節税&資金繰りの裏ルール31」(松波竜太著)を読みました。この本は、無駄な節税が会社のキャッシュを苦しくし、倒産に追い込むおそれがあると警告しています。

無駄な節税の具体的な手法は、保険に入る、役員報酬を増やす、経費を使う等です。私がほとんど勧めない方法で、同感です。この本では、それよりも手元資金を増やすために、節税ではなく銀行借入を推奨します。

後半は銀行借入するための手法が詳しく書かれており、こちらの方が参考になりました。会社が倒産するのは手元資金がなくなるからであり、そのためには銀行からの借入を利用してキャッシュを月商3ヶ月分を持つべきだとします。

銀行は「救済機関」ではないとして、銀行借入への次の5つのカン違いを挙げます。

①取引する銀行は1行に絞ることで、イザというとき味方になってくれる→1行に絞ることで、銀行から切られたらゲームオーバー。

②決算書の借入残高が少ない方が融資を受けやすい→銀行は、お金を借りている相手に貸したい。

③中小企業は保証協会を付けないと借りられない→保証協会抜きの融資は十分可能。うちのお客様でも、つい最近プロパー融資に切り替えてもらいました。

④借入を半分にすれば支払い金利は半分になる→借入を半分にすれば金利は上がる。

⑤借入がなくてもある程度、預金残高があれば信用してくれる→銀行は融資している相手だけが客。

そして、無借金経営ではなく、実質無借金(預金>借入金)を目指すべきとします。日本政策金融公庫には預金制度がなく、ここからの借入金を使うことにより、ある銀行に対して実質無借金状態にすることによって、銀行への交渉力が強くなる方法として勧めています。

 

経常利益率7%の壁 第149回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

日頃、率の経営を目指しましょうと言っていますが、ここでの率は営業利益率、経常利益率、または税引前利益率です。

バブル前は経常利益率が10%あった上場企業も、その後長引く不況で5%前後を推移していました。

平成29年11月24日の日経新聞には、2018年3月期の上場企業の平均の経常利益率は7%を超える見込みとあります。すでに4〜9月期で7.8%に上昇しています。

有価証券報告書をみると、平成29年3月期の税引前利益率は、ソフトバンクグループ㈱8.0%、トヨタ自動車7.9%、日本電産㈱11.8%と既に7%を超えています。ソニー㈱の税引前利益率は平成29年3月期は3.8%ですが、平成29年9月中間期では8.9%と好転しています。

ソニーは世界首位の半導体センサーやゲームなどの得意分野に集中する戦略に転換したことが好結果に繋がっているとしています。ランチェスター経営の竹田陽一先生は、自分は「なに屋さん」かを決めなさいと仰ります。そこで外れていたものをいくら商売しても儲かりません。

企業の業績がいい要因として、選択と集中をしたことと、もう一つ損益分岐点が下がったことを挙げています。無駄な設備投資をせず、人件費を中心に固定費を抑制してきた結果としています。しかし、ここ最近は設備投資が大企業を中心に増えてきました。何百億単位の工場建設の話を地元福岡でも聞きます。

なぜ経常利益の額ではなく、経常利益率の率を重視するかというと、非上場企業の場合でいえば、オーナー経営者が多いため、利益額がそのまま税金の納税額につながって、利益を抑制する傾向にあります。

税金を抑えたい一心で利益を抑え、その結果、会社には何年経ってもキャッシュが残っていないということになりかねません。

中小企業といえども、7%の経常利益率を目指しましょう。

 

第139回 『借りたら返すな!』

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

大久保圭太著『借りたら返すな!いちばん得する!儲かる会社に変わるお金の借り方・残し方』(ダイヤモンド社)を今年の盆休みに読みました。

著者の略歴をみると、早稲田大学卒業後、会計事務所を経て中央青山PwCコンサルティング㈱(現みらいコンサルティング㈱)に入社し、財務アドバイザリー業務等を経験してきた税理士です。

まず「どうすれば会社を潰さずに、儲かる会社に変えることができるのか。答えはただ一つ。会社にお金があればいい、それだけです。 お金がないから会社は潰れていくのです。お金がないから十分な投資ができず、儲けることができないのです」とあります。

更に「業績が悪くなるのが分かっているのに、期日通りに銀行に返済している会社。税金を払いたくないからと、現預金を減らす無駄な節税に走る会社。大事なときに助けてくれないのに、メインバンクを大事にする会社。 全部、間違っています。会社を成長させるのに欠かせないのもまた、利益ではなく現預金です」とのことです。

タイトルは過激ですが、事務所としてお客様にキャッシュを会社に残す提案をしているので、書かれている内容にはとても共感しました。

この本を読んだ盆過ぎ以降の、会社に対するアドバイスの仕方が少し変わってきました。会社に現預金さえあれば、倒産することはありません。「銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を奪う」と言われます。金融機関から借りれる時に借りておくというのは、リスク対策上、大事なことです。

また、制度融資ではなく、プロバー融資をお願いするといったことや、決算書の借入金の勘定科目内訳書に金利を書くと不利に働くなど、銀行の付き合い方にも勉強になりました。

 

第136回 交際費の損金不算入

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

交際費は、原則、税務上は損金にできませんが、平成26年4月1日以後開始事業年度から、交際費等のうち接待飲食費の額の50%相当額を損金算入できるようになっています。

ただし、中小企業の場合は、損金不算入額には次のようになります。

① 平成25年3月31日以前開始事業年度
600万円までの10%+600万円を超過する金額

② 平成25年4月1日〜平成26年3月31日に開始する事業年度
800万円を超過する金額

③ 平成26年4月1日以後に開始する事業年度
800万円を超過する金額または接待飲食による交際費の50%を超える金額

中小企業(資本金1億円以下)では、上記のように選択できるようになっています。しかし、飲食による交際費の50%が800万円を超えるということは、中小企業の規模では、ほとんど考えられません。800万円を上回るためには1,600万円の飲食をしなければなりません。交際費等のうち接待飲食費の額の50%を損金算入できる改正は、大企業のための税制とといえます。

交際費の損金算入限度額の適用は、租税特別措置法第61条の4では、平成30年3月31日までとなっています。改正時は平成28年3月31日まででしたが、延長になっています。

交際費は、会社によって全く様相が異なります。規模にかかわらず、毎月、多額の交際費を計上している会社もあれば、ほとんど全く使用しない会社もあります。決算書のうち、社長の人生観が最もよく出るものの1つが交際費です。利益が出た分を交際費を使用する会社や、利益以上に交際費を使う会社もたまにあります。そんなことをしていては、いつまで経っても、会社にキャッシュは貯まりません。

例えば、利益100万円で同額の交際費を使えば、税金はゼロかもしれませんが、キャッシュの増加もゼロです。利益100万円で税金24万円(中小企業の襟計800万円までの実効税率24%)払えば、76万円のキャッシュが増えます。キャッシュを増やす経営を目指しましょう。

 

 

第67回「キャッシュを増やす経営をしよう!」

IMG_3291上場会社ではキャッシュフロー計算書は義務づけられています。中小企業ではなかなか作成することはありません。最近は、会計ソフトでも科目設定をしっかりすれば、キャッシュフロー計算書が瞬時に出てきます。

やはり、会社の経営はキャッシュが増えてなんぼです。その判断材料にとても有用です。税金は払いたくない一心で、無駄な経費を使い、入ってきた分だけ使い切っていると、何年経ってもキャッシュは増えていきません。

キャッシュフロー計算書は

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

に区分されます。営業活動によるキャッシュフローは、まずは税引前当期純利益からスタートです。それと減価償却費です。減価償却費はキャッシュを伴わない経費ですから、利益に足してキャッシュと考えます。

銀行から借入れた場合、返済原資はこの当期利益+減価償却費になります。ですから、利益を計上しないことには借入金の返済もできません。利益を計上すれば、税金が課税されます。5,000万円借りた場合、実行税率を35%とすると、7,692万円の利益を計上しなければなりません。

投資活動によるキャッシュフローは、土地・建物などの固定資産の取得・売却、有価証券の取得・売却などです。

財務活動によるキャッシュフローは、銀行からの借入金、返済等です。

マンション投資をして、利回り10%とはいっても、キャッシュフロー的には、入ってきた家賃は、銀行返済に回ります。

特に、個人の確定申告で、「こんなにお金は残っていないのに、どうしてこれだけの税金がかかるのですか?」と聞かれることがあります。

銀行返済金は経費とはなりません。銀行返済見合い分くらい減価償却費があるとわかりやすいかもしれません。

キャッシュの金額は操作できません。キャッシュを増やす経営をしましょう。

第58回「現物出資」

 

会社を設立する時に、通常は金銭を出資します。

以前は株式会社の場合は、資本金1,000万円は必要でしたが、

今の会社法では資本金1円でも設立が可能です。

 

とは言っても、1円だけでは会社設立のための手続き費用の

20万円程度も調達できませんので、現実的ではありません。

少なくとも現金50~100万円は必要となります。

 

金銭を出資するかわりに現物を出資するのが「現物出資」です。

金銭と現物を組み合わせて会社を設立することもできます。

 

現物とは有価証券・製品・貸付金・不動産・機械・車両・備品などですが、

当事務所では実務的には建物、貸付金を出資する事例が多くなっています。

 

現物出資とはいっても、税務上は譲渡所得とみなされます。

土地を現物出資すると、土地を売買したのと同様のことですから、

多額の譲渡所得税が発生する可能性があります。

ですので土地は、通常、現物出資の対象にはなりません。

 

個人所有のマンションの場合、家賃収入は個人の事業所得となります。

それが、建物を現物出資することによって、家賃収入は会社の売上となります。

土地は出資していませんので、個人には地代を支払い、

役員に報酬を支払うことになります。

 

相続の際には、法人にしておくと分割しやすいということもあります。

平成18年から会社法に合同会社という会社形態が設けられました。

合同会社の場合、出資者は「社員(有限責任社員)」と呼び、

原則として社員(出資者)=役員となります。

 

合同会社の場合、特に現物出資に関しては、さまざまな特典があります。

株式会社の場合、「現物出資の金額が500万円以上」になると

裁判所に選任された検査役の調査や、弁護士・会計士などの価格証明などが

必要となりますが、合同会社では、これらが不要です。

 

資本金については、株式会社では半分は資本金になります。

例えば、2億円のマンションを出資した場合、1億円は資本金となりますが、

合同会社の場合は資本金1,000万円で、残りは資本剰余金することが可能です。

資本金額で、税務上等の取扱いが異なってきますので、ここは合同会社の利点といえます。

 

高野山の金剛峯寺 もし現物出資すると、 とてつもない資本金になるでしょう

高野山の金剛峯寺
もし現物出資すると、
とてつもない資本金になるでしょう

 

第57回「お金を残す経営」

今月より再開しました「マネーファイト!」。

第1回は、お金を残す経営です。

収益性の高いビジネスをしている社長さんでも、

意外とお金が残っていないことが多々見受けれます。

 

ランチェスター経営の竹田陽一先生は、

決算書の純資産(自己資本)が、

経営した年数だけ貯まっていかないといけないと仰っています。

 

純資産が増えるということは、

利益剰余金が増えていくことです。

毎期、利益を計上していかなければ利益剰余金は貯まりません。

 

利益剰余金が貯まるということは、

直接的には現金・預金が貯まるということです。

一方、利益を計上すれば、

その分税金は発生します。

 

ですから、逆説的ですが、税金を払わなければお金は貯まりません。

会計帳簿を見なくても、

今年は儲かったか、損したかは、

預金通帳の残高をみれば、ある程度わかります。

 

預金残高が増えていれば儲かっているということであり、

反対に預金残が減っていれば損しているということです。

 

実際には、借入金の返済があったり、

売上を計上しても売掛金で残っていたりして、

キャッシュフロー的には一概にはいえませんが、

究極的には利益を計上するということは、

お金が増えているということです。

増えた現金から、税金を30~40%支払うことになります。

 

例えば、税額がゼロであった場合、

一見、得をしたように思えるかもしれませんが、

言葉を変えれば、要はお金が増えなかった、

またはお金が減ってしまったということです。

 

稼ぎ力のある経営者は、利益を出してお金を貯めていきます。

その増えたお金を、本業以外のものに投資をすると、

結果、お金をなくすことになります。

 

メディアではほとんど問題にしていませんが、

日経平均株価は17,427円(平成27年9月8日現在)と、

いつの間にか、2万円を大きく割っています。

 

世界経済恐慌に突入しています。

こういう時こそ、現金、現物をしっかり守っていきましょう。

 

お金を残す経営をされているソフトブレインの川原社長と田代取締役

お金を残す経営をされているソフトブレインの川原社長と田代取締役

第44回「買掛金の決算処理」

決算書元気ですか! 福岡の公認会計士、税理士の山崎隆弘です。

うちの事務所は、7月、8月決算が多く、決算の真っ只中という感じです。早速9月決算も入ってきました。

申告期限は、決算日後から2ヶ月以内ですが、事務所では1ヶ月決算・申告を目指しています。

毎月、計画と実績のフォローをしている会社では、決算に2ヶ月も要していたら、次の期がスタートして3ヶ月後に見ることになりかねません。

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第42回「率による経営を目指そう!」

岩佐さん元気ですか! 福岡の公認会計士、税理士の山崎隆弘です。

数年前に、元週刊ダイヤモンド編集長の岩佐豊さんに、事務所で講演をして頂いたことがあります。

社長まで勤め上げられた方です。

ここ最近、「週刊ダイヤモンド」を購読していますが、今は紙媒体でも見れるし、ネット上で、いつでも見れるので、とても便利ですね! 更に過去のバックナンバーからの検索までできます。

また、先日、最終回の視聴率が42%だった半沢直樹の小説は「銀翼のイカロス」として現在も連載中です。

JALがモデルのようです。

その岩佐さんが講演のなかで、率の経営を目指しましょうと言われたことがとても印象的でした。

経常利益で20%を目指すべきと強調されていました。

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