2021年 1月 の投稿一覧

相続時精算課税制度のデメリット 第250回

相続時精算課税制度とは、原則、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

相続時精算課税は、受贈者が贈与者ごとに選択できます。しかし、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで、暦年課税に変更することはできません。これが最大のデメリットです。相続対策では暦年贈与が最も効果的です。その暦年贈与が適用できなくなります。

そうはいっても、時と場合によります。例えば、相続が発生した場合に、揉めることが予想されるような場合、贈与者がある相続人に渡したいと思っている資産について、事前に相続時精算課税制度を利用して贈与することは充分に考えられます。

揉めないためには、他に遺言書を公証役場で公証人によって作成しておくこともありますが、遺言書の作成が面倒という方もおられます。その場合、相続時精算課税制度を利用して贈与しておくと、所有権移転登記もなされていますので、その物件については揉めようがありません。

相続時精算課税制度による贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、2,500万円を差し引いた金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。

相続が発生した場合、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続等により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税額については、還付を受けることになります。相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額となりますので、地価が上昇する見込の土地については早めに価額を確定することができるメリットもあります。

相続時精算課税制度では受贈者ごとに選択できますので、複数人から贈与を受け、各々相続時精算課税制度を選択すれば、それぞれについて2,500万円控除して、贈与税額を計算します。そして、相続時の精算となります。

新設の「ひとり親控除」 第249回

令和2年の年末調整・確定申告から、控除関係において大幅な改正となっています。基礎控除が従来の38万円から48万円に変更となり、一方、給与所得控除は最小で55万円だったものが、65万円となります。合計して103万円は変化ありませんが、身体に染みついた数字が変わるので、頭を柔軟にしなければついていけません。

そのうち、未婚のひとり親に対する税制上の措置と、寡婦(寡夫)控除の見直しについてです。従来は未婚の「ひとり親」に対しては税制上の手当はありませんでしたが、ひとり親控除が新設されています。「ひとり親」とは次の要件を満たす人です。

①生計を一にする、所得金額48万円以下の子がいる

②本人の合計所得金額が500万円以下

③婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいない

このように「ひとり親」は、婚姻歴の有無や性別にかかわりません。「ひとり親」に該当すれば、ひとり親控除として35万円控除が適用されます。特に年末調整において洩れないように注意しなければなりません。

男性の場合、従来の寡夫控除が、ひとり親控除に変わったことになります。婚姻歴が有無は関係なくなった分だけ、対象が広がりました。女性は、ひとり親控除に該当しない場合でも、次に該当すれば寡婦控除27万円が適用されます。

①夫と死別した後、婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない人

②夫と離婚した後、扶養親族がいる人

ともに本人の合計所得金額が500万円以下であることが条件です。男性は寡婦控除に相当するものはありません。ひとり親控除または寡婦控除に該当する場合、給与から源泉所得税を控除する場合の扶養人数の1名にカウントされますので、これも忘れないようにしなければなりません。

かなり近しい方でも、寡婦控除等は洩れることがあります。よくよく注意して該当の有無を検討しましょう。