2020年 11月 の投稿一覧

『月刊ヤマサキズム』2020年12月号 Vol.144

こんにちは。

公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所の山崎二三代でございます。

令和2年12月号のニュースレター「ヤマサキズム」ができあがりました。

12月はやはり1年を締めくくり、振り返りたくなります。今年はなんと言ってもコロナ禍で、何もない平凡な日々がいかに有難いことかを痛感しました。第3波が押し寄せてきているため、まだまだ予断は許されませんが、落ち着いて日々を過ごしたいと思います。

 さて、11月もご縁があって香川県、愛媛県、広島県へ。強行軍でしたが、お天気にも恵まれ、楽しい旅行となりました。瀬戸大橋の与島サービスエリアで瀬戸内の絶景を眺め、博多モンにとっては「固い」と思う(笑)300円の讃岐うどんをいただきました。さすがに美味しい!! ビックリしました!! 今月号は楽しい旅の一時をお伝えします。


山崎二三代

率の経営 第246回

週刊ダイヤモンド元編集長の岩佐豊さんに、9年ほど前に事務所の会議室でセミナーをして頂きました。その時に伺ったお話が、今でもとても心に残っています。それは「率の経営」です。

決算を締めて、当期純利益の確認をする際に、特に中小企業の経営者の場合は、まず利益の金額に目が行きます。そして、それに応ずる税金が頭に浮かぶようです。会社によっては数百万円も利益が出れば、大騒ぎとなります。

金額だけに注目していると、そうなりがちです。経営を見る場合に、売上に対する利益率は最も大事な指標の一つです。営業利益率(営業利益÷売上高)や経常利益率(経常利益÷売上高)などです。

以前、このブログでは経常利益率7%を目指しましょうと書きました。コロナの状況でも、少なくとも5%は欲しいところです。例えば1億円の売上の場合、5%の経常利益率であれば、経常利益5百万円となります。5百万円の利益でしたら、1百万円程度の法人税・地方税です。

利益をみる場合に、率で考えることが大切です。トヨタ自動車の営業利益が2兆円というと、とてつもないことのようですが、利益率は8%(令和2年3月期)です。このように、売上が増えれば、それだけ利益も増えなければいけません。

ただ、中小のオーナー企業の場合、役員報酬の設定如何により、利益率が大きく変わってきます。しかし、最近の税法の傾向は、所得税、相続税などの個人の税金は厳しく、法人税はゆるくとなっています。法人の実効税率は35%前後となっており、中小企業の場合は、8百万円以下であれば20%強です。

個人の所得税は、最大の所得税率は45%であり、地方税10%を足すと55%となります。税金的には法人で利益を計上した方が、お金を残し易くなっています。素直に法人で利益を計上した方が、個人の所得で抜くよりもお金が溜まる税金の仕組みとなっています。役員報酬を抑えて、営業利益率は10%を確保すると、財務体質的にも強くなります。

年末調整の大きな変更 第245回

税務署から年末調整の申告書等が送られてきています。今回から所得税の基礎控除、給与所得控除が改正され、所得金額調整控除が新設されています。他に扶養親族等の合計所得金額要件等が改正になっており、それに伴って、「給与所得者の基礎控除申告書」等の様式が大きく変わっているので注意しましょう。

給与所得控除額が一律10万円引き下げられました。例えば、給与の収入金額が1,625千円以下の場合は改正前で65万円控除でしたが、改正後は55万円の控除となります。給与所得控除の上限額は220万円から195万円と下がり、適用される給与収入額は1,000万円から850万円と引き下げられます。

一方、所得税の基礎控除は10万円引き上げられ、改正前の一律38万円から48万円となります。ただし、2,400万円超の所得金額からは32万円と下がり、2,500万円超からは基礎控除はゼロとなります。高額所得者の方は所得税率も高いので、税収的には大きいのではと思います。

最も低い給与所得控除は55万円となり、その場合の基礎控除は48万円ですから、所得税が課税されないギリギリの所得は103万円となります。改正前の65+38=103万円と、改正前とは金額的には変わりはありません。しかし、基礎控除が所得に応じて変わるので、従来、勤務先に提出していた「配偶者控除等申告書」に「給与所得者の基礎控除申告書」の様式が加えられています。

更に、給与の収入金額が850万円を超える所得者のうち、特別障害者の人、23才未満の扶養親族がいる人等は、収入金額から850万円を控除した金額の10%を給与所得控除できるようになっています。そのため、新たに「所得金額調整控除申告書」の欄が設けられています。この「申告書」に記入していなければ所得金額調整控除を受けれませんので、慎重に記入しましょう。

また、扶養親族の合計所得金額要件がそれぞれ10万円引き上げられています。配偶者の場合、改正前では38万円以下でしたが、改正後では48万円以下で扶養控除を受けれるようになります。これにより「配偶者控除等申告書」の様式が変更になっています。

実際に記入してみないとなかなか判り難いものです。給与所得者の方は皆さん記入しなければなりません。