2020年 3月 の投稿一覧

『茶聖』 第230回 

昨年紹介した『真実の航跡』の伊東潤さんの新刊本です。これは第二次世界大戦時の話でした。伊東さんとしては時代小説が本領のようです。『走狗』『西郷の首』『武士の碑』など西郷さん関連も多く、西郷ファンとしては是非読んでみないといけません。

『茶聖』は本能寺の変の前後から始まります。信長没後、秀吉が天下人になって、表の秀吉と、世の静謐を担う裏の利休のお互いのつばぜり合いで物語が進んでいきます。

不勉強のため、利休は名前からして僧侶と思っていましたが、堺の商人で、田中宋易という名前です。禁中茶会にあたって町人の身分では参内できないために、利休という居士号を正親町天皇から与えられます。

九州を制圧した秀吉を、筥崎宮参道横の真言宗恵光院に茶室を設けて、帰還を迎えています。筥崎宮に1ヶ月も秀吉は滞在しています。秀吉、利休ゆかりの茶道具が筥崎宮に残っているとは聞いていましたが、利休・秀吉と箱崎がこれだけ縁が深かったとは知りませんでした。

70才で、秀吉から切腹を命じられるまでの二人の駆け引きが見事です。519頁もある大部な本ですが、会話が多いため、意外とスンナリと読めます。

天下人となった秀吉が、狂ったように全てを求める姿がリアルです。秀吉は「悉」という言葉を最も好み、「ことごとく」自分のものとしていきます。

逆鱗に触れた者は、ほぼ切腹を命じられるか、武士でなければ磔(はりつけ)にされます。町人でありながら、切腹を命じられた利休はまだマシだったとも言えます。

秀吉に磔にされた弟子の宋二は「この世のあらゆるものを手に入れても、そなたの欲は収まらん。苦しんでいるのは、わしではなくそなたなのだ」と言って、死んでいきます。

『大無量寿経』の「少欲知足」が身に沁みます。

 

コロナウィルスによる確定申告の期限延長 第229回

新型コロナウィルスの感染拡大の防止から、令和元年度の確定申告期限が、1ヶ月延長となりましたが、うちの事務所では、お陰様でなんとか3月16日までにほぼ終了しました。

従来から基本的に確定申告期限内は、税務署による新規の税務調査の着手はされないとされています。昨年と3年前は、その期間でも法人税の調査がありましたので、原則としてはでしょう。

今回は、個人の申告期限が延長されたことに伴い、個人の所得税だけでなく、相続税等の資産税の調査も4月16日までは行われません。税理士が関与している法人への調査においても原則,同日まで新規調査は行われない方針とのことです。

ただし、1ヶ月延長される前に、調査の日程が既に3月16日の週から3社続けて入っており、予定通り受けることにしました。後ろに日程がズレると、他の会社の決算等に影響してきますので。

延長後の申告期限、納付期限は、個人の申告所得税、個人事業主の消費税、贈与税ともに令和2年4月16日となります。

うちのお客様は納付書による納付ではなく、ほぼ銀行口座からの振替納税を選択して頂いています。延長された振替納税日は、申告所得税は令和2年5月15日(金)、個人事業主の消費税は令和2年5月19日(火)となります。

新型コロナウィルスについては、逆にあおっているのではと思えるほど、報道が過熱です。「アビガン」という特効薬が富山化学工業㈱(現・富士フイルム富山化学㈱)により開発され、政府は200万人分備蓄していることが、3月19日付けの日経新聞一面で報道されました。もともとは2014年3月にインフルエンザ対策として製造販売承認を取得しています。

アビガンを開発した白木教授はテレビに出演し、重症患者に効くと発言していますが、未だ厚労省は治験準備中としています。中国製薬会社の浙江海正薬業にライセンス供与しており、2月に中国当局から生産認可を得ており、量産を本格化しています。「治療の効果は明らかだ」と中国科学技術省が3月17日の記者会見で発表しています。そのため、中国ではいち早くコロナ騒動が治まりつつあります。

あまり踊らされないようにしましょう。