2019年 12月 の投稿一覧

令和2年度税制改正大綱 第224回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

令和元年12月12日、自民党・公明党は来年度の税制改正の大綱を決めました。「税制改正大綱」(以下「大綱」)とは、翌年度以降に実施する増税や減税、新税の導入内容などをまとめた文書で、自民、公明両党の税制調査会が各府省庁等の要望を踏まえ議論し、12月に決定します。政府はこの大綱をもとに税制改正法案をつくり、翌年1月召集の通常国会に提出し、例年3月末あたりに国会を通過することとなります。

令和2年度の税制改正のテーマは、ベンチャーや5Gなどデジタル分野への投資を促す法人減税となっています。「大綱」では「5GはSociety5.0の実現に不可欠な社会基盤であり、安全・信頼性、供給安定性、オープン性が補償された5Gシステムを構築する必要がある」としています。

ただ、5Gは人体に与える影響が半端ないとも聞いたことがあります。「大綱」では5G網の整備を支援するため、投資額の15%が税額控除されます。令和2年度から2年間のみの時限措置です。

ほかに連結納税制度の見直しがあります。平成14年度に導入されてから18年が経過しています。うちの事務所では導入当初から連結納税制度に対応してきました。うちに限っていえば、連結納税制度を採用した会社には、未だ税務調査が入ったことがありません。

その要因として、連結申告書の複雑さがあると思います。当初はエクセルシートで作成していましたが、毎年、100枚もの申告用紙が変更となるため、現在は連結申告のソフトで処理しています。一つの会社を修正すると、全ての会社に影響があり、手作業では限界があります。

「大綱」では、グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に変えて、各法人が個別に税額計算できる制度に変更するとしています。ということは、連結納税を採用している会社にも、改正後は税務調査が入りやすくなるということになります。

社宅建物の取得の消費税と賃料相当額 第223回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

社宅や社員寮は経費削減の観点から減少傾向にありましたが、近年、導入する会社が増えているそうです。その際の、消費税の処理について、大企業においても処理ミスし、過少申告加算税の対象となっている案件があるとのことですので、気をつけなければなりません。

社宅建物の取得は消費税の課税対象です。ここで、課税売上高5億円以上、または課税売上割合が95%未満の会社は、個別対応方式または一括比例方式を採用することになります。

個別対応方式を採用し、有償で従業員・役員に貸し付ける場合、住居用のため受取賃料は非課税売上となります。そうなると、建物の取得は、非課税売上対応の課税仕入に該当しますので、全額が仕入税額控除の対象となりません。

一方、従業員・役員に対して無償で貸し付ける場合は、消費税は不課税となり、建物の取得は共通対応の課税仕入となります。結果、課税売上割合に応じた消費税が控除(還付)の対象となります。

それで、そのまま従業員・役員から賃料を徴収している場合と、無償の場合とでは消費税の処理が異なります。修繕費についても同様の取扱いとなります。

また、従業員・役員に社宅を貸与する場合、賃貸料相当額を受け取っていれば、給与として課税されませんが、無償で貸与する場合は賃貸料相当額が給与として課税されます。従業員に対する賃貸料相当額または役員に対する賃貸料相当額(小規模住宅の場合)の計算方法は①~③の合計額となります。

①(建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

②12円×(その建物の総床面積(㎡/3.3)

③(土地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

従業員から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されないこととなっています。