2019年 3月 の投稿一覧

『社長の基本』 第203回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

三條慶八さんの『1000人の経営者を救ってきたコンサルタントが教える 社長の基本』を読みました。

1960年生まれと私と同じ年ですが、経歴がスゴイです。父親の代から神戸・三宮一帯で広く不動産賃貸業と飲食業を経営していましたが、1995年の阪神・淡路大震災で、運用不動産に総額40億円以上の被害を受けます。

その再建途上で、北海道拓殖銀行・山一証券から始まった金融機関の倒産、その後のデフレ不況に直面し、ピーク時には140億円の負債を背負ったというから半端ではありません。

そこから「身も心もボロボロになり、血尿を出しながらもあきらめず」、8年後には、自己破産もせず自力再生し、完済しています。

現在は、その時の経験を活かし、経営コンサルタントとして活躍しています。第1章は「社長の心得」、第2章「社長の行動力」、第3章「社長の分析力」、第4章「社長の交渉力-金融機関との上手なつき合い方」となっています。

そして細かい章立てには必ず「会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は~」から始まるタイトルとなっています。

さすがに140億円の借金を返済しただけあって、第4章の金融機関とのつき合い方は出色です。今年3月に発刊された『社長のお金の基本』でも、金融機関の利用の仕方が中心となっています。

資金に余裕がなくても借入しておく、3行以上の金融機関と借入取引をする、身の丈に合った金融機関と取引する、プロパー融資と保証協会付融資の違いを理解する、安易にリスケしない等、とても参考になることが書かれています。

しかし、最も感銘したのは「会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は鈍感力がある。鈍感力とは、大して必要ではないものごとをスルーする能力だ」でした。

ネット上のサーバ 第202回

元気ですか! 福岡天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

ネット上には無料のデータフォルダ、または格安のフォルダがありますが、仕事上で使用するには、データ消去のリスクがありますので、使い辛いものです。

個人的な勉強関係にはEvernoteを使用していますが、本業では「安心君」を使っています。あまり知られていませんが、ファイブテクノロジー㈱が提供しているネット上のサーバです。

証明書のキーをダウンロードしなければ使用できません。その上でID、パスワードが必要です。更に1年更新のため、更新しなければ使えなくなります。

事務所のサーバとして使用していますが、お客様とのデータとのやり取りにも便利です。その場合は、お客様にはこちらから招待状をメールでお送りして、証明書をダウンロードしてもらいます。なので、お客様は料金を負担することなく、使用できます。

メールの添付ファイルで会計上のデータを送付することは、データ漏洩のリスクがあります。「安心君」では、会計データのみではなく、給与データ、販売データの送付にも使用しています。

更に、記帳資料の通帳コピーや証憑関係も「安心君」にアップしてもらっています。アップロードはファイルをネット上の「安心君」にドラッグするだけです。決算時に、ほとんどの資料を「安心君」にアップしてもらうと、会社に伺う前にほぼ決算作業は終了していることもあります。

そのためには、紙の資料をPDFファイルに変換する必要があります。コピーの複合機でもできますが、富士通のScanSnapを各自の机に備えてつけていれば、日常業務のついでに行うことができます。

事務所には紙の資料は、契約書以外はほぼありません。資料が全てネット上にアップされていると、ネットさえつながれば、何時でもどこでも書類を見ることができます。

出張中でも事務所といるのと同様に作業が可能です。お客様からのお問合せにも答えることができます。お客様と距離の壁が取り払われるので、とても有用です。

 

製造業の原価管理の事例 第201回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

製造業の場合、原材料、仕掛品、製品の3種類の在庫があります。収益を上げるためにはこの在庫管理が必須となります。

原材料を仕入れて、製造工程に投入します。製造工程に投入されなかったものは原材料の在庫となります。

製造工程に投入されたものが仕掛品となります。期首の仕掛品と期中に投入された材料と労務費、製造経費から、製品が完成します。期末に残った仕掛品が在庫となります。

完成した製品は、期首の製品を含め、販売されます。販売されたものは売上原価として計上されます。

このように、製造業では原材料と仕掛品と製品の3種類の在庫が発生します。在庫は移動平均法などの評価方法により評価されます。

その前提として、仕掛品と製品は原価計算をすることにより原価を把握します。仕掛品・製品の原価を構成するのは、投入された原材料だけではなく、労務費、製造経費も原価となります。

製品一つを製造するのにどれだけ原材料、労務費、製造経費が使用されたかを計算するのが原価計算です。

仕掛品・製品の単価が算出されれば、それに数量を掛けて在庫金額を計算します。製品といっても1種類だけではありませんので、各製品の原価を算出します。それにより、製品ごとの粗利益が見えてきます。

在庫金額を売上原価から差し引き、売上総利益を計算するため、在庫金額の多寡により利益が異なってくるので、慎重に正確に原価計算、棚卸をします。

販売の見込みもなく大量に生産した場合、一個当たりの製造単価が下がり、一見、利益が出たように見えることがあります。しかし、多くの不良在庫を抱えるリスクが生じます。そういう意味では、利益がでてきるからOK ということにもなりません。

原価計算と定期的な実地棚卸により、正確な利益を把握する必要があります。その上で、経営上の対策をとることになります。