2018年 1月 の投稿一覧

原価管理について 第155回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

先日、ある会社で工事原価管理についての研修をさせて頂きました。ヒト、モノ、カネを投入して生産活動をします。その資源を投入して利用する過程において、原価を認識し測定します。

大事なことは費用対効果の観点から、投入すべきものか否か、受注を受けるべきか否かを意思決定しなければなりません。 前半、後半と講義形式でご説明し、それを受けてグループワークをして頂きました。具体的に自社でどのような原価管理をすべきかを話し会ってもらいました。

講義の中で、意外と反応があったのが、労務費管理のところで、手待時間、休憩時間も原価がカウントされているということでした。特に、タバコを吸うだけでロスとなります。禁煙するだけで生産性が上がります。 うちの事務所が入っているビルでは、1階の駐車場のところが喫煙所となっています。ほぼ同じ顔ぶれの人達がタバコを吸っていますが、ご本人は休憩のつもりでしょうけれど、端から見ればサボリですね。

ディスカッションでは、在庫管理、クレーム、仕損じについての発表が多くありました。在庫管理では、日常生活で使えるようなもの、高価なものは気をつけなければなりません。棚卸減耗損も原価です。

経験不足または教育不足のよる仕損じは、極力減らしたいところです。これもそのまま原価に反映してきます。

受講会社の中で、通常は全社ベースで行う損益分岐点の計算を、各現場ごとにしている会社がありました。受注段階から見積原価を計算し、それと比較検討しながら、管理しています。 現場ごとに損益分岐点管理すれば、相当の利益 改善になるのではと思われます。その管理を始めて半年とのことですので、結果が楽しみです。

平成30年度からの配偶者控除、配偶者特別控除 第154回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年度税制改正により、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分以後の所得税から適用されます。

平成29年分の年末調整手続には、この影響はありませんが、早速、平成30年1月の源泉徴収事務から関係してきます。

まず、平成30年の最初の給料の支払いをする前に、「平成30年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から提出してもらわなければなりません。

この書類の中で「源泉控除対象配偶者」とは、合計所得金額の見積額が900万円(給与所得だけの場合の給与等の収入金額が1,120万円)以下の給与所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額の見積額が85万円(給与所得だけの場合の給与等の収入金額が150万円)以下の人をいいます。

配偶者に該当する人がいる場合であっても、その配偶者が源泉控除対象配偶者に該当しない場合には、「源泉控除対象配偶者」欄への記載は不要になります。

平成30年分以後の配偶者控除を整理すると、合計所得金額が900万円以下の場合は、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば38万円の配偶者控除、900万円超950万円以下であれば、26万円の配偶者控除、950万円超1,000万円以下であれば、13万円の配偶者控除となります。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額38万円超から123万円以下の間で、所得が高くなるほど逓減していきます。

源泉徴収事務では、合計所得金額900万円以下の場合で、配偶者の合計所得金額が85万円以下(給与収入150万円以下)であれば、扶養親族1名とカウントします。それ以外は源泉徴収事務では扶養親族ゼロとなります。

年の中途で給与所得者または配偶者の合計所得金額の見積額に変動があった場合は、次の給与支払いから源泉徴収額を変更します。遡っての修正はできず、年末調整により精算することになります。

 

 

配偶者控除、扶養控除について 第153回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

年明けから、事務所ではお客様の年末調整の計算に追われています。

従業員の方の年末調整をする場合に、配偶者の所得に注意しなければなりません。配偶者控除については、平成30年から改正になりますが、現在、年末調整中の平成29年分については従来のままです。

配偶者控除は、その年の12月31日で、次の四つの要件を満たす場合に適用できます。

  1. 民法の規定による配偶者(内縁関係は該当せず)
  2. 納税者と生計が一
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の専従者給与の支払を受けていない

ただし、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

平成29年までは、一般の配偶者控除は38万円となり、配偶者が70才以上の場合は48万円控除となります。

また、年間の合計所得金額が38万円超76万円未満である場合、配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が増えるに従って逓減していきます。納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できません。

配偶者特別控除については、平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。

マイナンバーが導入されてから、配偶者の所得が高いために配偶者控除ができないという、税務署からの通知が多くなったようです。お子様の扶養控除においても、遠隔地でも103万円以上の所得があれば、税務署から連絡があります。これもマイナンバーによる照合によるものでしょう。

年末調整にあたり、配偶者、扶養者の所得の確認する必要があります。

 

 

『炎上する世界経済』 第152回 

明けましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたします。

正月休みに鈴木啓功著『炎上する世界経済 日本人だけが知らない国際金融の残酷な現実』(イースト・プレス刊)を読みました。

冒頭に4つの大胆な近未来予測を提示しています。

  • トランプ大統領が暗殺されて米国は大分裂を開始する。
  • 現代世界資本主義経済体制は大崩壊する。
  • 現代世界(アジア世界+欧州世界+中東世界)は破壊される。
  • 第三次世界大戦が勃発する。

いずれも当たって欲しくない予測ばかりです。そして2020年の東京五輪は開催されるはずがないと断言しています。

これらの予測を、歴史から紐解いて、ここ最近の出来事を積み上げて、論証していきます。

そのベースとなるものが、著者が構築したという「超サイクル理論」です。「超サイクル理論」とは、世界の歴史は「大構築」(90年)と「大逆転」(90年)を繰り返しながら「180年サイクルでぐるぐる回っている」というものです。

大構築の時代は、社会30年、経済30年、政治30年の順に上昇していき、大逆転の時代は政治30年、経済30年、社会30年の順に下降していきます。

世界も日本も、同様に動いており、日本の場合は、明治維新から1950年代までの90年間が大構築の時代に当たり、1960年で転換し、1990年のバブル崩壊から経済の下降が始まり2020年まで続き、結果として失われた30年となると予測し、2050年までの30年が社会下降の時代となります。

著者は、いたずらに不安を煽るのではなく、2050年に至る歴史情勢を明確に踏まえた上で、一人ひとり『今後の生き方』を大きく考えてみて欲しいと、警鐘します。

1960年といえば、私が生まれた年です。まさに大転換の切り替えの年だったことになります。大転換と言っても、既得勢力には不都合ですが、新勢力にとってはチャンスが広がる時代としています。

著者の覚悟が伝わってくる本です。