2016年 11月 の投稿一覧

第99回 欠損金の繰戻しによる還付

img_0890元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成 21 年度税制改正により、中小法人等の平成 21 2 1 日以降に終了する事業年度において生じた欠損金額について、法人税の繰戻還付が認められています。ここで中小企業等とは、資本金1億円以下の法人です。

この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できます。

要は、前期に黒字で法人税を納税していて、当期に多額の赤字を計上した場合、当期の赤字で前期の法人税を還付してもらえる制度です。

計算式は、還付金額=還付所得事業年度の法人税額÷還付所得事業年度の所得金額×欠損事業年度の欠損金額です。前期に納税した法人税額が限度額となります。

適用要件は、欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していることと、確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出することになっています。

この制度は法人税だけです。法人の事業税では還付制度がないため、事業税の添付書類である「欠損金額等の控除明細書」で、通常のように控除していきます。

県民税及び市民税は、還付法人税額を限度として計算した額を、その後の各事業年度(9 年)における法人税割の課税標準となる法人税額から控除することとなります。

具体的には「控除対象還付法人税額又は控除対象個別帰属還付税額の控除明細書」 を使用します。この添付書類を作成していないと、県民税及市民税について欠損金を使用しないことになりますので、留意しましょう。

第98回 給与所得者の特定支出控除

img_0885元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

「給与所得者の特定支出控除」とは、給与所得者が勤務に伴って特定の支出をした場合、その年中の特定支出の額の合計額が「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。平成25年度以後の所得税から適用されています。

そもそも給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて異なります。平成28年度では、12百万円以上の給与収入で2,300千円控除されるのが上限です。平成29年度は10百万円の給与収入で2,200千円控除が上限となります。

「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」は、平成28年度からは一律に「その年中の給与所得控除額×1/2」となります。給与所得控除額が上限の2,300千円の場合、1,150千円以上支出があれば、所得金額から控除できます。

「特定支出」とは、給与所得者が支出するもので、6つ定められています。通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費です。勤務必要経費は図書費、衣服費、交際費等となっており、65万円までとなっています。

なお、これらの6つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られ、それぞれ証明書の様式が定められています。給与の支払者から補填される部分がある場合には、支給部分は「特定支出」から除かれます。

この「特定支出控除」を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

1,800千円以下の給与収入であれば収入金額×40%が給与所得控除額となります。3,000千円の給与所得の場合は給与所得控除は1,200千円です。1,200千円の半分は600千円ですので、これを超える場合に適用となります。

給与所得控除は、サラリーマンの経費を認めているような制度です。それの半分といえども超えるのは、なかなか大変でしょう。

第97回 人生8分野での人生計画

img_0947元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

11月中旬になり、急に冷え込むようになってきました。早いもので、今年もあとわずかとなり、来年の計画を立てるシーズンになってきました。

今週、東京のお客様からの昼食会に招かれ、食事の前に1時間ほど二三代さんがお話をさせて頂きました。ほとんどが女性の方で、女性向けの話ということで、専業主婦時代のこと、仕事に就いた頃のこと、パートナー(私のこと)とのこと等を話し、最後に人生計画の話をしました。

12年前に、親父から事務所を継承して、家内が入所したときに、マンダラ手帳の松村寧雄先生に人生計画を8分野で立案することを教えてもらいました。人生8分野とは、健康、仕事、経済、家族、社会、人格、学習、遊びの8つです。それぞれの分野ごとに来年の目標を書き入れていきます。マンダラ思考による計画です。

通常は、直線思考で、例えば、まず健康、そして仕事、次に経済(お金を貯める)、それが整ったら遊ぶというようにハードル競争になってしまいます。そうなると、いざ遊ぼうとしたときには、年令がいっていて、お金と暇はあるけど、身体が動かないということになりかねません。特に、海外旅行などは体力のあるときでなければ行けません。

それに対して、マンダラ思考では、8つの分野を同時に計画をたて実行していきます。男性の場合はどうしても仕事優先となってしまいます。そんな生活を送っていると、退職したときに何もすることがない、最近は、退職即離婚などもあるようです。

人生8分野の中では、人格、人生観が最も重要であると思います。終わりの見えないレース途中で、年末に振り返り、来年の計画を8分野で立ててみては如何でしょうか。

第96回 「反応しない練習」

img_0915元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。今日は、連休の中日のような日です。

最近は「え!あの人も」と、ウツ病の人を多く聞きます。私自身は「気のせいじゃない?」と言いたくなります。それは生きている限り、落ち込むこともあるでしょう。それをいちいち「ウツ病」と言っていたらキリがないような気がします。

しかし、ウツを患っている人の話を聞くと、そう簡単でもないようです。数年前、映画「ツレがうつになりまして。」(2011年)を観ました。主人公の堺雅人がウツと診断され、半年間は継続して飲みなさいと薬を処方されます。ある意味、薬害かなとも思います。

「反応しない練習」(草薙龍瞬)を知人より紹介され読んでみました。その中でとても共感したことは「反応しない」ということです。私自身も心がけています。人間は感情の動物ですので、相手から何かを言われたりすると、つい反応してしまいます。ビジネス上で、いちいち反応していたらエライことになります。

相手がお客様とかになると我慢もしたりしますが、家族などは遠慮会釈もないので、反応のしっぱなしということになりかねません。なので、相続の場面とかになるとお互い言いたいことを言って、そのまま兄弟の縁を切ってしまったということになりかねません。

ブッダが面前でバラモンに罵倒されたときの対応が見事です。「もし罵る者に罵りを、怒る者に怒りを、言い争う者に言い争いを返したならば、 その人は相手からの食事を受け取り、同じものを食べたことになる。わたしはあなたが差し出すものを受け取らない。あなたの言葉は、あなただけのものになる。そのまま持って帰るがよい」

反応するということは相手の術中に入ってしまうことになります。付き合う必要はないでしょう。