第281回 書評『ハリウッド映画の正体』

書評

副島隆彦先生が監修、西森マリーさん著者の『カバールの民衆「洗脳」装置としてのハリウッド映画の正体』です。毎年、150本ほどの映画を観ますが、最近のハリウッド映画の質の低下というか、観終わったあとの気分の悪さを感じていました。その正体をハッキリと示してくれました。

監修の副島先生は「ハリウッド映画をエンタメとしてしか見てこなかった人たちは、ことの真相はどうだったのかを、この本と共に考えることで自分の脳を訓練しなさい」と冒頭に記しています。

ペンタゴンもCIAもハリウッドにオフィスを構えて、メジャーな映画制作会社と常に連絡を取り、「国防のため」という大義名分のもと、米軍やCIAをネガティブに描く脚本を握りつぶしています。CIAの意向に沿わない脚本は、構想の段階で潰され、CIAの承諾を受けた脚本しか映画化に至らないそうです。

FBIも同様に、ハリウッドに広報局のオフィスを構え、映画関係者に積極的に働きかけています。また、FBIはあらゆる議員、政治家、判事、検事、財界人、有名人をスパイしており、自分たちが弱みを握った人物のみの出世を許しています。弱みがないと、高い地位についたときに脅しが効かないからだそうです。

映画産業は、人々の心や文化に最も大きな影響を与えるものとして、例えばチャップリンの影響力を恐れ、ホテルの部屋に盗聴器を仕掛けていたことがMI5の文書に記されています。FBIはマリリン・モンローを監視、盗聴し、JFKと弟のロバート・ケネディの両方と関係を持っていた証拠をつかんでいました。

これらはほんの一例です。いわゆる映画史上の名画といわれるものも、不都合な史実からいかに注意を逸らさせるものであったかを、膨大な映画を例にして述べています。本当に油断もスキもあったものではありません。テレビと同様に、うっかり見ていると洗脳されてしまいます。

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