第126回 平成29年度税制改正 ⑤取引相場のない株式の評価の見直し

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

取引相場のない株式の評価方法には、類似業種比準方式、純資産価額方式、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式、配当還元方式があります。会社の規模により大会社、中会社、小会社に区分され、各々採用する評価方法が異なります。

まず大会社の場合は類似業種比準価額と純資産価額のいずれか低い価額になります。

中会社の場合、評価額=類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)となります。Lは①総資産価額及び従業員数に応ずる割合、②1年間の取引金額に応ずる割合のうち大きい方の割合を使用します。その割合は0.90.750.6と分かれています。

小会社はLの割合が0.5となります。

大・中・小の会社の区分について改正されています。大会社の従業員基準が100人以上から70以上に下がっています。取引金額基準では特に卸売業の場合、80億円から30億円に減額になっています。より多くの会社が大会社に区分されるようになります。

中会社のLの割合適用区分が見直されています。例えば、卸売業では大会社に近い0.9の割合基準ですが、純資産価額基準が14億円から4億円と減額になり、取引金額基準が50億円以上から7億円以上と減額になっています。

また、類似業種比準価額の計算方法において、平成12年改正で配当比準値:利益比準値:純資産比準値=111であったものを131としていましたが、今回の改正で元の111に戻っています。役員退職金で多額の経費を計上して赤字になっても、評価に与える影響が小さくなります。

類似業種の株価は課税時期の属する月以前3ヶ月間のうち最も低いものを採用しますが、今回の改正により、課税期間の属する月以前2年間の平均株価によることが選択できるようになりました。

平成2911日以後の相続等により取得した財産の評価に適用されますので、遡及しての適用です。類似業種比準方式の見直しは、中小企業の相続税や贈与税負担を軽減することを目的とするとされていますが、実際に具体例で算出してみないと何とも言えません。

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