配偶者控除、扶養控除について 第153回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

年明けから、事務所ではお客様の年末調整の計算に追われています。

従業員の方の年末調整をする場合に、配偶者の所得に注意しなければなりません。配偶者控除については、平成30年から改正になりますが、現在、年末調整中の平成29年分については従来のままです。

配偶者控除は、その年の12月31日で、次の四つの要件を満たす場合に適用できます。

  1. 民法の規定による配偶者(内縁関係は該当せず)
  2. 納税者と生計が一
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の専従者給与の支払を受けていない

ただし、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

平成29年までは、一般の配偶者控除は38万円となり、配偶者が70才以上の場合は48万円控除となります。

また、年間の合計所得金額が38万円超76万円未満である場合、配偶者特別控除を受けることができます。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が増えるに従って逓減していきます。納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できません。

配偶者特別控除については、平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。

マイナンバーが導入されてから、配偶者の所得が高いために配偶者控除ができないという、税務署からの通知が多くなったようです。お子様の扶養控除においても、遠隔地でも103万円以上の所得があれば、税務署から連絡があります。これもマイナンバーによる照合によるものでしょう。

年末調整にあたり、配偶者、扶養者の所得の確認する必要があります。

 

 

『炎上する世界経済』 第152回 

明けましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたします。

正月休みに鈴木啓功著『炎上する世界経済 日本人だけが知らない国際金融の残酷な現実』(イースト・プレス刊)を読みました。

冒頭に4つの大胆な近未来予測を提示しています。

  • トランプ大統領が暗殺されて米国は大分裂を開始する。
  • 現代世界資本主義経済体制は大崩壊する。
  • 現代世界(アジア世界+欧州世界+中東世界)は破壊される。
  • 第三次世界大戦が勃発する。

いずれも当たって欲しくない予測ばかりです。そして2020年の東京五輪は開催されるはずがないと断言しています。

これらの予測を、歴史から紐解いて、ここ最近の出来事を積み上げて、論証していきます。

そのベースとなるものが、著者が構築したという「超サイクル理論」です。「超サイクル理論」とは、世界の歴史は「大構築」(90年)と「大逆転」(90年)を繰り返しながら「180年サイクルでぐるぐる回っている」というものです。

大構築の時代は、社会30年、経済30年、政治30年の順に上昇していき、大逆転の時代は政治30年、経済30年、社会30年の順に下降していきます。

世界も日本も、同様に動いており、日本の場合は、明治維新から1950年代までの90年間が大構築の時代に当たり、1960年で転換し、1990年のバブル崩壊から経済の下降が始まり2020年まで続き、結果として失われた30年となると予測し、2050年までの30年が社会下降の時代となります。

著者は、いたずらに不安を煽るのではなく、2050年に至る歴史情勢を明確に踏まえた上で、一人ひとり『今後の生き方』を大きく考えてみて欲しいと、警鐘します。

1960年といえば、私が生まれた年です。まさに大転換の切り替えの年だったことになります。大転換と言っても、既得勢力には不都合ですが、新勢力にとってはチャンスが広がる時代としています。

著者の覚悟が伝わってくる本です。

 

 

 

平成30年度税制改正大綱 第151回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年12月14日に、自民党・公明党から「平成30年度税制改正大綱」が出され、12月22日に閣議決定されました。来年1月に招集される通常国会に税制改正法案が提出されます。

大綱の基本的考え方には「税制面において、働き方の多様化を踏まえ、特定の働き方だけでなく、様々な形で働く人をあまねく応援し、働き方改革を後押しする観点から、個人所得課税について、これまで検討を重ねてきた見直しの方向性に沿って、給与所得控除・公的年金等控除の制度の見直しを図りつつ、一部を基礎控除に振り替えるなどの対応を行う」とあります。

ここ最近の税制改正は、法人は優遇で、個人の課税は厳しい傾向にありましたが、更に個人に重い改正案となっています。

平成に入って法人税率は37.5%で10年間推移し、現在は23.4%です。地方税も含めた実効税率は34.3%となり、以前の法人税率よりも低い税率です。中小企業で800万円までの利益の場合、実効税率は23.5%です。実際に申告書を作ると、以前に比べて随分安くなったと実感します。

これに対して、個人の所得税率は最大で(課税所得4000万円超)45%、地方税を合わせれば55%となります。

今回の税制改正大綱では、更に所得税改革が焦点となり、給与所得控除が一律に10万円減らされます。給与所得控除の上限は220万円から195万円と下げられます。

高齢者についても、年金収入が1000万円超または年金以外の所得が1000万円を超えると増税になります。

事業承継税制については、廃業する中小企業が多く、承継税制が浸透していないという実情に鑑み、10年間の特例措置として、各種要件が緩和され、納税猶予割合を80%から100%に引き上げる抜本的な拡充が行われます。

個人から法人に所得を移すだけで、あるいは事業承継税制を使用するだけで、節税スキームがほぼ不要になるような改正傾向となっています。

 

営業権償却 第150回 

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年度税制改正により、平成29年4月1日以後、M&A等により取得した営業権の償却方法が変更になっています。

従来は、営業権の耐用年数は5年で、年額の5分の1償却となっていました。それが月割償却となっています。そのため、期中で取得した場合は、従来は1年分償却していたものが月割償却になります。

ところで、営業権とは何でしょうか? 営業権とは、法律的な権利関係を基礎とする営業権(代理店契約、ライセンス契約)や超過収益力を背景とする営業権、そして「のれん」などです。

ここで「のれん」とは、「企業結合に関する会計基準」では「取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額は「のれん」として会計処理し、下回る場合には、その不足額は負の「のれん」として取得原価と買収企業の純資産価額との差額になります。

会計上、「のれん」は無形固定資産に計上されます。負の「のれん」は、生じた年に「負ののれん発生利益」として特別利益に計上されます。「のれん」は計上後、20年以内のその効果の及び期間にわたって定額法などの合理的な方法によって償却します。

税務上、「のれん」は、非適格合併等における合併等対価の額と、移転を受けた資産および負債の時価純資産価額との差額を資産(負債)調整勘定とします。資産調整勘定(のれん)は、5年間で償却(損金算入)し、負債調整勘定についても5年間で償却(益金参入)します。

この償却について、税務上は、年間償却から月割償却に改正されています。

少しややこしくなりましたが、「のれん」は営業権に含まれます。

 

 

 

経常利益率7%の壁 第149回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

日頃、率の経営を目指しましょうと言っていますが、ここでの率は営業利益率、経常利益率、または税引前利益率です。

バブル前は経常利益率が10%あった上場企業も、その後長引く不況で5%前後を推移していました。

平成29年11月24日の日経新聞には、2018年3月期の上場企業の平均の経常利益率は7%を超える見込みとあります。すでに4〜9月期で7.8%に上昇しています。

有価証券報告書をみると、平成29年3月期の税引前利益率は、ソフトバンクグループ㈱8.0%、トヨタ自動車7.9%、日本電産㈱11.8%と既に7%を超えています。ソニー㈱の税引前利益率は平成29年3月期は3.8%ですが、平成29年9月中間期では8.9%と好転しています。

ソニーは世界首位の半導体センサーやゲームなどの得意分野に集中する戦略に転換したことが好結果に繋がっているとしています。ランチェスター経営の竹田陽一先生は、自分は「なに屋さん」かを決めなさいと仰ります。そこで外れていたものをいくら商売しても儲かりません。

企業の業績がいい要因として、選択と集中をしたことと、もう一つ損益分岐点が下がったことを挙げています。無駄な設備投資をせず、人件費を中心に固定費を抑制してきた結果としています。しかし、ここ最近は設備投資が大企業を中心に増えてきました。何百億単位の工場建設の話を地元福岡でも聞きます。

なぜ経常利益の額ではなく、経常利益率の率を重視するかというと、非上場企業の場合でいえば、オーナー経営者が多いため、利益額がそのまま税金の納税額につながって、利益を抑制する傾向にあります。

税金を抑えたい一心で利益を抑え、その結果、会社には何年経ってもキャッシュが残っていないということになりかねません。

中小企業といえども、7%の経常利益率を目指しましょう。