『真実の航跡』 第216回

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元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

74回目の終戦記念日の8月15日が近づいてきました。令和元年になって映画『東京裁判』のデジタルリマスター版を観ました。太平洋戦争でのA級戦犯のドキュメンタリー映画です。4時間半もの長大な作品です。

裁判そのものが無効ではなかという、ベンブルース・ブレークニー弁護士の「キット提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も我々は承知している」との口頭弁論には感銘しました。

B級戦犯の映画として『私は貝になりたい』があります。理髪店主人が召集され、上官により捕虜の処刑を命じられ、戦後、戦犯として裁かれます。主演の中居正広が叫ぶ「私は貝になりたい」が心に残りました。

今回読んだ『真実の航跡』は、昭和19年のビハール号事件をモデルとしているようです。小説では、昭和19年3月、大日本帝国海軍の重巡洋艦「久慈」は、インド洋でイギリス商船「ダートマス号」を撃沈し、救助した捕虜69名を殺害します。

敗戦後、「久慈」艦長であった乾と、「久慈」が所属していた第16戦隊の司令官・五十嵐は、戦犯として香港に移管され、起訴されます。戦犯弁護人として香港にやってきた若手弁護士の鮫島は、香港の刑務所で虐待を受けながらも、毅然とする五十嵐元艦長を弁護していきます。

日本が再生するに当たっての、当時の、現地での強い風当たりが襲いかかります。インド人通訳がいうインドの格言「重荷は背骨が折れるまで背負え」に励まされ、鮫島は最後まで弁論を続けます。

結果はネタバレになるので書けません。著者の伊藤潤さんは私と同じ1960年生まれ、時代小説で様々の賞を受賞しています。著者としては新境地の本となるようです。

 

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