第112回 確定申告の所得控除の順序

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

確定申告たけなわのシーズンです。確定申告書の第一表の所得金額に表示されている、事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得、総合譲渡所得、一時所得は総合課税の対象となるものです。このうち、配当所得は、総合課税、分離課税の選択が認められています。

一方、分離課税として不動産譲渡所得、配当所得(分離課税選択)、株式の譲渡所得、先物取引の雑所得、山林所得、退職所得等があります。分離所得だからと思って、例えば配当所得を確定申告書に載せなかった場合、受けられる還付金が受けれないことがあるので注意が必要です。

所得控除のうち雑損控除だけは、他の諸控除と区分して最初に所得金額から差し引きます。これは、生活用・業務用資産について災害・盗難等の損害を受けた雑損控除の金額だけは、所得金額から引ききれない金額を雑損失の控除不足額として翌年以降の所得計算の際に差し引くことが認められていることによります。その場合、純損失(所得金額のマイナス)と同様に、損失申告用の第四表で3年間繰り越します。

総合課税の所得金額から控除金額を差し引き、引き切れない控除が残った場合、分離課税の所得から差し引きます。なので、例えば100万円の控除額が残った場合、他に分離課税の所得が120万円あれば、差し引いて20万円の分離課税所得となります。

特定口座の源泉ありを選択していれば、すでに源泉徴収されているということで、確定申告は不要となっています。しかし、引き切れない控除があれば、源泉徴収された所得税が還付となります。特に配当金の場合は、総合課税を選択すれば配当控除(配当金額の10%税額控除)が受けれますので、還付となるケースは珍しくありません。今一度、確定申告書を見直してみましょう。

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