税制改正

第82回 法人の休眠と再開

IMG_3987元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

法人の事業を休業する場合、税務署には「異動届出書」を、市には「法人市民税に係る法人等の設立申告書・異動の届出書」を、県には「法人異動届」を提出して、休眠会社となります。

一方、法人を解散・清算させる場合は、解散申告書を税務署に提出し、法務局で解散登記をしなければなりません。異動の届出書を税務署、市、県に提出します。その後、清算結了申告書を税務署に提出し、法務局で清算結了の登記をします。同様に異動の届出書を提出します。

解散・清算に比べると、休眠会社の方が簡単で費用もかかりませんが、注意が必要です。

休眠なので何も取引はありませんが、税務署に申告書を提出しない場合は、青色申告の承認が取り消しとなります。税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が送付されてきます。

青色申告が取り消されている休眠会社が、改めて再開する場合、「青色申告の承認申請書」を提出しなければなりません。再開する事業年度開始前までに提出しなければ、白色申告のままとなります。

白色申告では、繰越欠損金が使用できません。繰越欠損金は、平成2041日前に終了した事業年度分は7年、それ以後平成2941日前に開始する事業年度分は9年、平成2941日以後に開始する各事業年度分は10年と、延びる傾向にあります。

また、減価償却は白色申告であっても計上できますが、特別償却は青色申告でなければ認められません。

法人を再開する場合は、「青色申告の承認申請書」を忘れないようにしましょう。

第79回 高額特定資産を取得した場合の消費税

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消費税率の10%への改正は、2年半再延長されることになりましたが、平成28年度改正のうち「高額特定資産を取得した場合の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し 」については、そのままの適用となります。

これは中小企業が消費税の免税を受けていない及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に「高額特定資産」の仕入れ等を行った場合には、この高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度は適用されないというものです。

ここで、「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。例えば、3月決算会社の場合、平成293月期に1,000万円以上の太陽光発電システムを取得したとすると、平成303月期、313月期は、消費税は原則課税となります。

また、自己建設高額特定資産については、この高額特定資産の建設等に要した仕入等の支払対価の額の累計額が 1,000万円以上となった日の属する課税期間の翌期から、建設等が完了した日の属する期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用しないこととなっています。

平成293月期に高額特定資産の建設等に要した仕入等が1,000万円以上となり、平成313月期に完成した場合、平成333月期まで、消費税原則課税の課税事業者となります。

高額資産を取得した場合の消費税還付に対応するための改正です。その後2年間は、売上が1,000 万円以下になっても、消費税課税事業者(原則課税)になるということです。

第74回「平成28年度税制改正 消費税『インボイス制度』」

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 先週は、消費税改正のうち10%に増税になった場合の、軽減税率制度の概要をみました。今回は、複数税率の下での課税環境を整備するための、「区分記載請求書等保存方式」、「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)を概観してみましょう。

 平成29年4月1日からインボイス制度への経過措置期間として、4年間は、簡素の方法である「区分記載請求書等保存方式」が採用されます。標準税率が10%、軽減税率が8%になります。そのため、売り手と買い手と次のような対応が必要です。

売り手・・・・従来の請求書に加え、①軽減税率の対象品目である旨、②税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)が追加されます。売り手の交付義務は現行通りありません。
買い手・・・・区分掲載請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。請求書が保存要件であることは従来通りです。最初の1年間は軽減税率対象仕入のみなし計算が認められていますが、会計事務所として対応が大変になると言われています。

 次に、随分、先の話になりますが、平成33年4月から「インボイス制度」に移行します。売り手と、買い手は次のように記載事項等が追加されます。
売り手・・・・登録番号、税率ごとに区分して合計した対価の額、適用税率、税率ごとの消費税額が追加されます。売り手は交付義務があるとされています。
買い手・・・・適格請求書等の保存が要件となり、なんと!免税事業者からの仕入税額控除が不可となっています。免税事業者は益税となっていますので、本当はこれが導入したかったのではとも思えてきます。一応、免税事業者からの仕入税額控除ができる特例、80%控除または50%控除、も認められるようです。

 国税庁は、軽減税率制度導入に伴うシステム修正費用は修繕費で計上できる取り扱いを公表しています。いずれにしても、莫大なシステム開発投資になるのではないでしょうか。

第73回「平成28年度税制改正 消費税の軽減税率制度」

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 今週は、消費税改正を見ていきましょう。今のところ、平成2941日から消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。それに伴い、軽減税率制度が創設されます。軽減税率制度とは、低所得者に配慮する観点から、平成2941日より「酒類・外食を除く飲食料品」及び「週2回以上発行される新聞の定期購読料」を対象に、消費税率が8%となります。

 外食にはケータリングも含まれます。外食は10%ということで、例えば持ち帰れば8%となります。ということは、ドライブスルーは8%で、お店に入って食事をすれば10%の消費税となります。そうすれば、スタバで持ち帰れば8%、お店で飲めば10%ということで、混乱しそうですね。お持ち帰りが増えそうです。スタバは場所代と思えば、10%でもいいのかもしれません。

 飲料食品と飲料食品以外の資産が一体となっている資産については、飲料食品に該当しないとなっています。これは菓子と玩具により構成されている、いわゆる食玩のことだそうです。ただし、食玩でも、税抜価額が 1万円以下であって、食品に係る部分の価額の占める割合が 2/3以上のものに限り、全体が軽減税率の対象になるとあります。

 これはほんの一例ですが、国税庁の消費税の軽減税率制度に関するQAでは、いろいろな場合を想定して、解説されています。頭がこんがらがってきます。

 少なくとも、店舗ではレジのシステム開発をしなければ対応できないでしょうし、申告業務も相当に混乱しそうです。

第72回「平成28年度税制改正 法人税」

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 今回は、平成28年税制改正のうち法人税関係です。法人税改正の大きな目玉は実行税率の引き下げです。それにつきましては、49日のブログに書きましたので、今週はそれ以外の法人税改正についてです。

 中小企業で直接関係してくるのは、建物附属設備・構築物の減価償却方法が、平成2841日以後取得分から定額法に一本化されることでしょう。建物については、すでに平成1041日取得分から定額法になっていました。これに加え、建物附属設備・構築物も定額法となります。

 どのような影響があるかとなると、定額法ですので、毎期均等の減価償却費となります。定率法のように早期に償却が進むということはありません。耐用年数省令では附属設備は主に15年となっています。15年のなかで、定率法と定額法の比較であれば、それほど影響はないのではと思います。建物ほどの影響はありません。

 最近は、太陽光設備などの即時償却が魅力的に見えることもあります。しかし、単に先に償却してしまって、2年目からは償却額がないということです。償却額自体に増減はありませんので、それほど飛びつくものでもないような気がします。かえって、即時償却したため、多額の損失が一度に計上され、全ては使用できずに、繰越欠損金が流れるということも考えられます。

 その繰越欠損金について、平成3041日以降開始事業年度からは、繰越期限が現状の9年から10年に更に延長されます。いくら延長されても、利益を計上しない限りは繰越欠損金は減らないことに留意しましょう。