税制改正

第119回 均等割基準の改正

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成27年度税制改正前は、法人住民税均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」は、法人税申告書の別表51)の「資本金等の額の計算に関する明細書」の合計額をそのまま基準としていました。

均等割とは利益がなくても納税しなければならない法人市民税・県民税です。福岡県福岡市では資本金等1千万円以下で71,000円です。資本金等が1千万円を超えると均等割は208,500円となります。

平成27年度地方税法の改正により、法人住民税均等割の税率区分の基準となる額は、「資本金等の額」に、次の1の額を加算し2および3の額を減算した金額となっています。

  1. 平成2241日以後に、無償増資により利益剰余金または利益準備金を資本金の額に組み入れた金額
  2. 平成1341日~平成18430日に、旧商法の規定に基づいて無償減資による欠損てん補をした金額
  3. 平成1851日以後に、会社法の規定に基づいて資本金の額または資本準備金の額の減少により生じたその他資本剰余金を欠損てん補に充てた金額

結果として、外形標準課税の資本割の課税標準と同じ規定となっています。

同じ平成27年度税制改正により、法人住民税均等割の基準である資本金等の額が、資本金と資本準備金の合計額を下回る場合、基準を資本金と資本準備金の合計額とすると改正されました。

自己株式を取得した場合、法人税法上の資本金等の額は減算しますが、会社法上の資本金の額と資本準備金の額は変わりません。この場合は、「資本金の額+資本準備金の額」が税率区分の基準となる額となります。

最近は、自己株式を取得するケースが増えています。均等割の金額に注意しましょう。

第115回 源泉所得税について

元気ですか! 公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

やっと確定申告が終わって一息ついているとこです。今年の確定申告シーズンは、税務調査が重なって大変でした。これまでは2月は税務署も忙しいので、この季節に税務調査はありませんでした。今回はそれも数社重なってしまいました。

調査官にお聞きすると、年間に調査に行く件数が増えたそうで、赤字法人であっても、書面添付していても税務調査がありました。繰越欠損金がある場合は、法人税・地方税の納税には直接影響しません(繰越欠損金は減りますが)。しかし、消費税、源泉所得税は赤字であっても関係ありません。最近は源泉所得税を厳しくみる傾向にあるようです。

社員を表彰する場合に、商品券、クオカードなどを渡すことがあります。その場合でも源泉しなければなりません。そのまま渡したいという相談を受けることがありますが、商品券分も給与明細に入れて、源泉する必要があります。個人々々で計算するとそれほど多額にもなりません。

また、個人的な支出を経費に計上していた場合、給与とみなされることがあります。中小企業でオーナー経営の場合、注意しなければなりません。事業と関係のない経費とみなされると役員賞与となります。社長の場合は、従業員よりも多くの報酬をもらっていることが多いので、その際の源泉所得税は高額になりかねません。税務調査で指摘されれば、一旦は源泉所得税を会社から支払うこととなります。

外注先への支払いでは、相手が法人であれば源泉の必要はありませんが、個人であれば所得税法20418に該当すれば源泉徴収しなければなりません。調査では先方が確定申告しているかどうかも確認します。

第114回 退職金をもらったときの確定申告

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

今日315日は確定申告の期限日です。退職金所得について確認しておきましょう。退職金所得は分離課税です。退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けているか否かで取扱いがかなり異なってきます。実務的には、退職する人に書いてもらい、会社に保管しておく必要があります。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合、退職所得は次の計算方法で算出して源泉徴収します。

(退職金-退職所得控除額)×12=退職所得の金額

退職所得控除額は、勤続年数が20年以下のときは1年当たり40万円、20年超からは1年当たり70万円となります。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」がない場合は、退職金に20.42%の税率を乗して計算した金額を源泉徴収しなければなりません。

例えば、2,500百万円の退職金では、勤続年数を30年とすると、「退職所得の受給に関する申告書」があれば572,500円の源泉徴収となりますが、不備の場合は5,105,000円の源泉徴収額と多額になります。最近の税務調査では源泉徴収額を厳しく見られますので、会社側で一旦、これを支払うとなったら大変です。

退職金を受け取った個人からいえば、一律20.42%の源泉徴収を引かれている場合は、確定申告すれば、他の所得がないとすると差額の4,532,500円が還付となります。

役員等の勤続年数が5年以下である場合、平成25年分以後は退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になり、計算式の1/2計算の適用はありません。

「退職所得の受給に関する申告書」により源泉徴収を受けていても、確定申告の控除額が残っていれば還付になることがありますので、今一度、計算してみましょう。

第113回 給与所得控除の減少

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

確定申告もいよいよゴールが見えてきました。疲れがピークのところです。お客様に、今回の確定申告の説明をしているところです。

そこで改めて思うのは、給与所得控除が減ってきたということです。例えば、昨年と同じ給与収入の場合、給与所得も同じになると思って説明しています。しかし、同じ給与収入にもかかわらず、給与所得は今回の平成28年度の方が多くなっています。

不思議に思って確認すると、ここ数年、給与所得控除は減ってきています。判りやすくするために給与収入を1600万円とすると、給与所得控除は平成24年度260万円、平成2527年度245万円、現在申告中の平成28年度は230万円、来年申告の平成29年度は220万円と年々減少しています。

逆に、法人税の方はここ数年、税率は低下してきています。地方税を含めた実行税率は、かつては40%ありましたが、現在は約34%になっています。東北大震災による復興特別法人税は平成26年税制改正により、平成263月期までで1年前倒しで廃止になっています。

それに対して所得税は、上記のような給与所得控除の減少、平成27年度からは最高所得税率が40%から45%へ上昇と増税の傾向です。復興特別所得税は平成49年度まで続きます。税率は所得税の2.1%です。

給与の源泉徴収税額表は毎年改訂され、こちらも少しづつ源泉徴収税額が増加しています。法人に優しく、個人に厳しい税制改正のようです。そのため、法人の配当率は高くなり、対して個人の可処分所得は減る傾向にあります。

第108回 消費税の簡易課税制度の改正

元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

消費税の納付税額は、原則として課税売上げ等に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて計算します。

しかし、課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している場合は、課税売上高から納税額を計算できる簡易課税制度の適用を受けることができます。

仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、事業の種類ごとにみなし仕入率が異なります。売上を卸売業、小売業、製造業等、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。

平成2741日以後に開始する課税期間から、簡易課税制度のみなし仕入れ率について、従来の第四種事業のうち、金融業及び保険業を第五種事業とし、そのみなし仕入率を50%(従前60%)に、従来の第五種事業のうち、不動産業を第六種事業とし、そのみなし仕入率を40%(従前50%)に改正されています。

個人事業主では、特に不動産業は珍しくありません。みなし仕入率が50%から40%に変更になったということは、控除額が減ったということですから、納税額を増える結果となります。

また、2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。卸売業、小売業の場合は、みなし仕入率が90%、80%ですので、これらの事業が75%以上であれば少ない消費税額になります。

逆に、不動産業が75%以上であれば多めの消費税となってしまいます。売上高が5,000万円以下の場合、原則と簡易とどちらが有利か、翌期が始まるまえに、よく検討しましょう。