税法

第127回 平成29年度税制改正 ⑥投資促進税制

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年度税制改正については、中小企業・個人に関係したものということで、一応、今回で最終回にしたいと思います。

中小企業への支援として創設されたのが、「地域経済を牽引する企業向けの投資促進税制」です。企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律の改正を前提に、平成31331日までの間に、取得等をする設備について適用されます。

都道府県知事の承認を受けていること、先進性を有する事業であることについて主務大臣の確認を受けていること、設備投資金額が2,000万円以上との要件があります。適用されれば、機械・器具備品については40%の特別償却(または4%の税額控除)、建物等・構築物については20%の特別償却(または2%の税額控除)となります。

また、中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)もあります。中小企業経営強化税制として改組し、器具設備及び建物附属設備を含めた全ての設備が対象となります。適用になれば特別償却、税額控除となりますが、中小企業経営強化法の認定計画に基づくものでなければなりません。

その点では、従来の中小企業投資促進税制の方が使いやすそうです。平成31331日まで2年延長されています。製造業、建設業、卸売業などが指定事業です。機械で1160万円以上、測定工具等で1120万円以上の取得であれば、特別償却30%(または7%の税額控除)が適用されます。通常はこの制度を使用することになります。

一時、太陽光の即時償却が話題になりましたが、一時に償却するため、当たり前のことですが、翌年から償却するものがありません。あまりに多額の資産を一時に償却すると、年度の利益では解消できなくなってしまいます。償却することに変わりはないので、即時償却、特別償却とそれほど気にすることはないのではと思います。

第126回 平成29年度税制改正 ⑤取引相場のない株式の評価の見直し

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

取引相場のない株式の評価方法には、類似業種比準方式、純資産価額方式、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式、配当還元方式があります。会社の規模により大会社、中会社、小会社に区分され、各々採用する評価方法が異なります。

まず大会社の場合は類似業種比準価額と純資産価額のいずれか低い価額になります。

中会社の場合、評価額=類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)となります。Lは①総資産価額及び従業員数に応ずる割合、②1年間の取引金額に応ずる割合のうち大きい方の割合を使用します。その割合は0.90.750.6と分かれています。

小会社はLの割合が0.5となります。

大・中・小の会社の区分について改正されています。大会社の従業員基準が100人以上から70以上に下がっています。取引金額基準では特に卸売業の場合、80億円から30億円に減額になっています。より多くの会社が大会社に区分されるようになります。

中会社のLの割合適用区分が見直されています。例えば、卸売業では大会社に近い0.9の割合基準ですが、純資産価額基準が14億円から4億円と減額になり、取引金額基準が50億円以上から7億円以上と減額になっています。

また、類似業種比準価額の計算方法において、平成12年改正で配当比準値:利益比準値:純資産比準値=111であったものを131としていましたが、今回の改正で元の111に戻っています。役員退職金で多額の経費を計上して赤字になっても、評価に与える影響が小さくなります。

類似業種の株価は課税時期の属する月以前3ヶ月間のうち最も低いものを採用しますが、今回の改正により、課税期間の属する月以前2年間の平均株価によることが選択できるようになりました。

平成2911日以後の相続等により取得した財産の評価に適用されますので、遡及しての適用です。類似業種比準方式の見直しは、中小企業の相続税や贈与税負担を軽減することを目的とするとされていますが、実際に具体例で算出してみないと何とも言えません。

第123回 平成29年度税制改正 ②配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成30年以後の所得税の計算について、配偶者控除・配偶者特別控除が見直されました。控除対象配偶者とは、その年の1231日の現況で、4つの要件の全てに当てはまる人です。

① 民法の規定による配偶者(内縁関係の人は該当しません)。

② 納税者と生計を一にしていること。

③ 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。

④ 青色申告者の事業専従者でないこと。

現行制度では、一般の控除対象配偶者は38万円の控除が受けられます。その年1231日現在の年齢が70歳以上の配偶者の場合(老人配偶者控除)は、48万円控除となります。

今回の改正では、配偶者の給与収入の上限を、現行の103万円から150万円に引き上げられます。給与所得が150万円の場合、所得金額は90万円となります。

ただし、控除を受けようとする人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除を受けることはできません。合計所得金額が900万円以下であれば38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円の配偶者控除となります。

配偶者特別控除は、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下の場合、合計所得金額900万円、950万円、1,000万円の区分により、配偶者の所得が高くなるにつれて配偶者特別控除が減っていきます(現行の配偶者控除は配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満)。

また、扶養控除は合計所得金額が38万円以下であれば、配偶者特別控除のような控除はありませんので、念のため。

第122回 平成29年度税制改正 ①所得拡大促進税制の見直し

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年度の税制改正はあまり大きなものはないようです。そのうち、中小企業等にかかわる改正をいくつか取り上げたいと思います。第1回目は「所得拡大促進税制の見直し」です。

所得拡大促進税制をうけるための3つの要件のうち、1つめは基準年度よりも平成2526年度は2%、平成2729年度は3%増加している必要があります。3月決算会社の場合、平成253月期(平成24年度)が基準事業年度となります。

2つめの要件は、給与等支給総額が前事業年度以上である必要があります。基準年度と比較して23%アップしていても、直前の前事業年度に比較して支給額が減少すると要件を満たしません。

3つめの要件は、平均の給与等支給額が前事業年度を上回ることです。うちのお客様で、支給額は十分に増えているけれども、新規採用が増え平均給与が下回るケースがありました。また前年度に賞与を多く支給した結果、平均が前事業年度よりも下がったケースもありました。

これら3つの要件を満たせば、給与等支給額の24年度からの増加額の10%が税額控除となります。ただし、調整前法人税額の20%(大会社の場合は10%)までという制限がありますので、実務上は、この法人税額の20%に収まってしまうことが多いようです。

今回の改正は、給与等支給額が前年比2%以上になった場合、前年度からの増額部分の税額控除を10%から22%に引き上げるものです。大会社の場合は12%となります。法人税を多額に納税している会社は有利となります。

所得拡大促進税制は、いまのところ3月決算会社では平成303月期で期限切れとなります。正確には平成303月末までに開始する事業年度で終了となります。

第119回 均等割基準の改正

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成27年度税制改正前は、法人住民税均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」は、法人税申告書の別表51)の「資本金等の額の計算に関する明細書」の合計額をそのまま基準としていました。

均等割とは利益がなくても納税しなければならない法人市民税・県民税です。福岡県福岡市では資本金等1千万円以下で71,000円です。資本金等が1千万円を超えると均等割は208,500円となります。

平成27年度地方税法の改正により、法人住民税均等割の税率区分の基準となる額は、「資本金等の額」に、次の1の額を加算し2および3の額を減算した金額となっています。

  1. 平成2241日以後に、無償増資により利益剰余金または利益準備金を資本金の額に組み入れた金額
  2. 平成1341日~平成18430日に、旧商法の規定に基づいて無償減資による欠損てん補をした金額
  3. 平成1851日以後に、会社法の規定に基づいて資本金の額または資本準備金の額の減少により生じたその他資本剰余金を欠損てん補に充てた金額

結果として、外形標準課税の資本割の課税標準と同じ規定となっています。

同じ平成27年度税制改正により、法人住民税均等割の基準である資本金等の額が、資本金と資本準備金の合計額を下回る場合、基準を資本金と資本準備金の合計額とすると改正されました。

自己株式を取得した場合、法人税法上の資本金等の額は減算しますが、会社法上の資本金の額と資本準備金の額は変わりません。この場合は、「資本金の額+資本準備金の額」が税率区分の基準となる額となります。

最近は、自己株式を取得するケースが増えています。均等割の金額に注意しましょう。