2019年 7月 の投稿一覧

認定医療法人への移行(下) 第212回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成29年10月~平成32年9月までの限定適用の認定医療法人制度の流れは①から⑤の順になります。

①持分のない医療法人移行計画検討会議

②社員総会により、移行計画の承認、定款変更の承認を決議し、移行計画の認定を申請します。

③厚生労働大臣が移行計画を認定します。

④認定医療法人の定款変更が認可されます。

⑤定款変更の認可を報告します。

このうち、②において認定の次の要件が要求されます。

  • 移行計画が、社員総会において議決されたものであること。
  • 出資者等の十分な理解が得られ、持分の放棄の見込が確実と判断されること
  • 移行計画に記載された移行期限が3年を超えないこと
  • 運営に関する要件を満たすこと

最後の「運営に関する要件」は次のようなものです。

  • 法人関係者に対し、特別の利益を与えないこと
  • 役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めていること
  • 株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと
  • 有休財産額は自行にかかる費用の額を超えないこと
  • 法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する事実がないこと

このうち、特別の利益提供の判断において、役員車の私的利用は、特別の利益提供のみなされます。ただ、私的利用は精算すれば、一定程度はよいなっていますが、疑義があるともされます。

運営状況を移行期間中は、1年ごとに移行計画の報告しなければなりません。移行完了後も5年間は1年ごとに運用状況の報告をすることになります。

特別の利益提供が明らかになった場合には、持分なし医療法人認定の取り消し事由となり、取り消しとなれば、課税されますので慎重に行う必要があります。

認定医療法人への移行(上) 第211回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

平成18年の医療法の改正により、持分のある医療法人の新設が廃止されました。それ以前に設立された既存の持分のある医療法人は、当分の間、持分を定めた定款の継続を認めています。

持分のある医療法人の場合、出資額に応じて払戻しを請求できるとされており、設立したときには少額でも、医療法人には配当がありませんので、価値がドンドン膨らんでいく可能性があります。

ある日突然、出資額に応じた請求されれば、出資は数百万円でも1億円を超える払戻金を支払わなければならなくなります。平成6年の八王子裁判では、設立時には50万円だったものが、評価が5億円を超え、請求された事例があります。そうなると医療法人の財務の健全性、継続性が脅かされますので、既存の持分のある医療法人も持分のない医療法人(認定医療法人)への移行が必要となってきます。

実務上は、相続税の対策をする上で、持分がなければ課税されないメリットがあります。

平成26年10月から平成29年9月の間に、旧認定医療法人制度がありました。ただし、この時は、医療法人側に課税されることが判り、あまり利用されませんでした。

現在は、平成29年10月~平成32年9月までの限定で、新しい認定医療法人制度が運用されています。

持分なしの医療法人に移行する場合に、持分がハッキリと判っていなければなりません。医療法人の法人税申告書の別表2がないこともあります。また、別表2があっても、内部資料なので出資金額を証明する書類にならないとも言われます。

持分のある医療法人であれば、都道府県に提出した「医療法人設立認可申請書」のなかに「出資申込書」があるそうです。これには出資者ごとの出資額を記載することとなっています。

定款に出資者の名前、持分が載っていない場合は、「出資申込書」で確認することになります。

 

 

 

 

 

 

 

令和元年度 税制改正④その他 第210回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

第4回目は個人課税、資産課税、法人課税以外で目についた改正事項です。令和元年10月からの消費税増税については、改めて特集する予定です。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、2年延長され令和3年3月31日までとなりました。改正前では30歳到達時に、その時点の残高に対して贈与税が課税されていました。

改正後は、 30歳到達時において、現に学校等に在学している場合には、その時点で残高があっても、贈与税を課税しないこととなりました。学校在籍しなくなった時の残高に対して贈与税が課税されます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、贈与者は金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、結婚・子育て資金を一括して拠出し、この資金について、子・孫ごとに1,000万円を非課税とされる制度です。これも2年延長となり令和3年3月31日までとなりました。

改正後は、贈与があった年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用できないこととなっています。

個人的に興味があったのは、金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除の見直しです。

改正前では、金地金等の課税仕入については、密輸品であったとしても、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿を保存することにより、 仕入税額控除が可能となっていました。

改正後は、密輸品と知りながら行った課税仕入について、仕入税額控除を認めないこととなりました。これは平成31年4月1日からの適用です。令和元年10月1日からは、金地金等に係る仕入税額控除について、帳簿の保存に加え、「本人確認書類の写し」の保存が要件として追加されることになります。

令和元年度 税制改正③法人課税 第209回

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

第3回目は資産課税です。あまり大きな改正はありません。1つ目は、イノベーション促進のための研究開発税制の見直しです。これは中小企業にとってはあまり関係のないところです。

そこで2つ目は、中堅・中小・小規模事業者の支援です。中小企業者等の法人税の軽減税率15%の特例の適用期限を2年延長し、令和2年度末までとなります。本則では19%ですが、平成24年から15%となっています。

課税所得が800万円以下の場合はこの15%を使用しますので、住民税・事業税を含めた実行税率は、23.5%となります。800万円を超えた部分に対しては法事税率は23.2%で実効税率は34.0%です。法人税は随分と軽減されてきました。

中小企業経営強化税制は適用期限を2年延長されます。生産性向上設備(生産性が年1%改善する設備)、収益力強化設備(投資収益率が5%以上の設備)で中小企業等経営強化法の認定計画に基づくものであれば、即時償却または7%の税額控除(資本金30百万円以下であれば10%)を受けれます。

この場合、即時償却はとても良さそうに見えます。しかし、償却期間を通してみれば税額は変わりません。それよりも税額控除の方を選択すべきと思います。

中小企業投資促進税制も2年延長となっており、特別償却30%または税額控除7%の選択です。

また、中小企業における災害に対する事前対策のため、防災・減災設備への投資について、特別償却20%ができる措置を講じています。主務大臣の定める中小企業者の事業継続力強化に関する基本方針に照らし適切なものとの条件が入っています。

特別償却20%といっても、耐用年数の期間を通してみれば税額が減る訳ではありませんので、わざわざ適用を受けるまでもないような気がします。