2017年 8月 の投稿一覧

第135回 税効果会計と実行税率

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

税務上ではなじみのない、税効果会計についてです。税効果会計に関する実務指針が平成10年に公表され、上場会社では2000年年3月期からの適用になっています。金融機関では1999年3月期からの適用でした。

当時は、金融ビックバンということで不良債権処理が強化され、多額の不良債権を処理しやすいように、税効果会計が前倒しで強制適用になりました。このように制度としては20年も経っていない新しいものです。

そもそも「税効果会計」とは、会計上と税務上の資産または負債に差異がある場合において、法人税等額を適切に期間配分し、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させる会計上の処理です。

と言っても、実際の例をみなければピンときません。例えば、不良債権の貸倒処理で、金融機関自己査定による債務者区分により貸倒引当金を計上します。20億円の不良債権に対し、半分の50%について貸倒引当金10億円を計上するとします。

ただし、この10億円は税務上の貸倒基準を満たしていませんので、会計上のみの処理となります。そこで税効果会計を適用して、将来、貸倒が実現したときの税金圧縮部分を資産として計上します。

繰延税金資産3.4億円/法人税等調整額3.4億円

税金部分を計算するために、実効税率を使用します。実効税率とは、課税所得に対する法人税、住民税、事業税の総合的な税率です。2017年3月期では34%ですので、10億円に34%を乗じます。その結果、繰延税金資産という実態のない資産が計上され、自己資本比率が改善されます。

法人の実効税率は年々低下の傾向にあります。一方、個人の最高所得税率は45%です。これに地方税率10%を足すと最大で55%の税率となります。ところが法人ではどれだけ利益を計上しても34%どまりです。中小企業の場合、税引前当期順利益が800万円以下であれば、24%となっています。法人優遇の傾向にあります。

 

 

 

 

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第134回 東芝の限定付適正の決算

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

やっと東芝の2017年3月期の決算が確定しました。有価証券報告書の提出期限6月末から遅れること40日、8月10日付けで提出しています。会計監査を担当するPwCあらた監査法人は、財務諸表監査について限定付適正意見を表明しています。通常は無限定の適正意見ですから、かなり珍しいことです。

限定付適正意見の根拠として、「会社は、特定の工事契約に関連する損失652,267百万円を、当連結会計年度の連結損益計算書において非継続事業からの非支配持分控除前当期純損失(税効果後)に計上した」と記載しています。金額が大きすぎてピンときませんが、米原発ウエスチングハウス(WH)関連の6,522億円の損失は前期に計上すべきであったというものです。

前期の監査は新日本監査法人が担当しており、当期のPwCあらた監査法人との綱引きで時間を要したようです。ここで不適正意見となると、上場廃止の可能性もあるため、不適正意見をだすのも、かなり勇気がいります。因みに、監査報酬は前期が53億円、当期が28億円です。あらたは25億円ディスカウントして監査を請けていますが、次回は交替と言われています。

内部統制監査については、不適正意見となっています。その根拠として、「当該損失の当連結会計年度における会計処理は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠していない」ためとしています。

決算書をみると当期利益が△9,656億円、株主資本△5,529億円という巨額なものです。2期連続債務超過となると、上場廃止になります。わずか2年前には1兆839億円あった株主資本が、2年間で一兆6,368億円吹っ飛んだことになります。今後は、収益部門の半導体メモリーが2018年3月までに売却でき、債務超過が解消できるかが焦点となります。収益力も勘案しての交渉になるでしょう。

 

 

 

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第133回 課税売上ゼロの場合の消費税還付

元気ですか! 福岡の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

現在、決算している会社で、当期の課税売上はゼロとなった会社がありました。課税売上がゼロであれば、課税売上割合がゼロとなり、還付もないかと思いきや、申告書ソフトでは還付となります。

改めて確かめると、なんと課税売上がゼロであっても、個別法を採用していれば還付請求ができます。根拠となる条文は、消費税法基本通達11−2−12「課税資産の譲渡等にのみ要するものの異義」に「《個別対応方式による仕入税額控除》に規定する課税資産の譲渡等にのみ要するものとは、課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい」、「課税期間において当該課税仕入れ等に対応する課税資産の譲渡等があったかどうかは問わないことに留意する」とあります。

課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入の例として次のものが揚げられています。

(1) そのまま他に譲渡される課税資産

(2) 課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料、容器、包紙、機械及び装置、工具、器具、備品等

(3) 課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等

ここで例示されているように、課税売上に対する課税仕入に係る消費税が対象となります。

計算式では、

①仮受消費税−②課税売上に係る仮払消費税−③課税売上・非課税売上共通の仮払消費税×課税売上割合

となります。例えば、①=0、②=100,000円、③=200,000円とすると、課税売上割合はゼロですので、

0−100,000−200,000×0=−100,000円

となり、10万円の消費税還付となります。

細かい計算で恐縮です。また、会社を設立したばかりで、課税売上はゼロで、仕入だけが発生していた場合、「消費税課税事業者届出書」を提出して、課税事業者になっていれば、還付となります。ただし、課税売上に対応する課税仕入のみが対象です。

 

 

 

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